統合失調症

統合失調症の患者の会話例【実例も交えて解説】

統合失調症の患者の会話例【実例も交えて解説】

精神疾患に罹患すると、論理的思考力の低下によってうまく会話できなくなったり、躁状態になって話しすぎたりしてしまうことがあります。そのため、話し方の違和感で精神疾患の兆候に気付くケースは少なくありません。

なかでも、100人に1人の割合で発症するといわれている統合失調症は、会話のなかに病気の兆候が現れやすい疾患であることで知られています。

統合失調症は珍しい病気ではないものの、悪化すると社会的な行動や円滑なコミュニケーションが困難になる可能性があるため注意が必要です。

本記事では、統合失調症の患者様に現れる会話の特徴について、例を交えつつ解説します。統合失調症は悪化すると治療が難航するため、兆候に早く気づき、早期治療を行うことが大切です。

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統合失調症の患者の会話の特徴

統合失調症とは、環境的要因やストレスによって脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、考えがまとまりにくくなる疾患です。

妄想や幻覚、思考障害といった「陽性症状」、意欲や感情が欠如する「陰性症状」、記憶力や判断力が低下する認知機能障害の3つの症状が現れ、悪化すると日常生活が大きく制限されてしまうこともあります。

さまざまな症状が現れる統合失調症ですが、患者様の会話にはどのような特徴があるのでしょうか。

ここでは、3つの特徴について解説します。

聞いたことに対して明らかに誤った解釈を行う

統合失調症の患者様は、聞いたことに対して明らかに誤った解釈を持つことが多い傾向にあります。

たとえば、テレビで芸能人がネガティブな意見を言うと「自分の悪口を言っている」と感じたり、少し注意しただけで「脅迫されている」と感じたりすることがあります。

これは、統合失調症の陽性症状である「過度な被害妄想」が原因となっているケースが多いです。

また、認知機能の低下により、会話に対する理解力そのものが低下している可能性もあります。

日常的な会話やただの注意が、ご本人にとっては脅迫や恫喝に感じることも少なくありません。

話に一貫性がない

統合失調症の症状のひとつに、考えや感情がまとまりにくくなるというものがあります。

その結果、言っていることの一貫性が失われて、支離滅裂な会話をすることが多々あります。

「突然会話が噛み合わなくなった」「話が飛んで何を言っているのか理解できない」という場合は、注意が必要です。

統合失調症の患者様の場合、伝えたいことが伝わらないことによるストレスによって、さらなる妄想(被害妄想)に発展することも多い傾向にあります。

そのため、ご家族は頭ごなしに話を否定するのではなく、しっかりと耳を傾けて寄り添う姿勢を見せることが大切です。

具体的な会話の例は後述するため、そちらも参考にしてみてください。

会話のテンポが悪い

統合失調症になると考えがまとまりにくくなるため、会話のテンポにも影響が出ます。

そのため会話の中身だけではなく、受け答えのスピードにも気をつけなければいけません。

たとえば言いたいことが整理できなくなると、言葉が見境なく口から出るようになるため、不自然なほど早口になります。

反対に、認知機能の低下によって話を理解するまでに時間がかかるようになると、話しかけられてから応答するまでに不自然なまでに時間を要するようになります。

そもそも話の内容を理解していなかったり、幻覚や幻聴が会話の途中に介在しているケースも少なくありません。

統合失調症の方に見られる会話の一例

統合失調症の方の会話の特徴を見ても、具体的にどのような兆候がみられたときに注意が必要なのかイメージできない方もいることでしょう。

そこで、ここでは統合失調症にみられる会話の一例について紹介します。

ケース1

20代女性

Aさんは社会人2年目に人事異動があり、環境が大きく変化しました。バタバタが落ち着いた頃からAさんの様子が変化し、オフィスをウロウロしたり大きな音を立てて行動することが増加。

単純な作業にミスが増えたため上司が確認したところ、「皆に嫌がらせや監視を受けている。自分の思考が漏れており、職場に私生活が漏らされることに耐えられない」と答えたそうです。

その後も支離滅裂な言動が多くなり、簡単な業務もままならなくなりました。

 

ケース2

10代男性

高校生になったBさんは、もともと真面目でがんばり屋な性格。ところが、急に何をしても手につかなくなり、ソワソワすることが増えました。外に出ると不安そうに周囲を見渡すことが増え、次第に外出を拒むように。

話しかけてみると、「電磁波攻撃を受けている」「街中に自分を監視するカメラが設置されている」と繰り返します。かと思ったら、今度は「自分は人気者だ」と言い出して気分が大きくなることもあります。

しばらくすると、急に笑いだしたり興奮したりするようになり、感情面が不安定になることが増えました。


このように、統合失調症の患者様は支離滅裂な話をしたり、周りの環境に対する被害妄想が増えたりします。

会話が噛み合わなくなったり妄想が現れたりすると驚いてしまいますが、このような症状が出ていたとしても、治療によって症状を改善することは可能です。

詳しくは下記の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。

統合失調症が完治した人はいる?治療の内容や流れも解説

統合失調症の方に見られる特有の行動

統合失調症の方は会話に兆候が多く見られますが、実は行動にも多くの病気のシグナルがちりばめられています。

ここでは、統合失調症の方に見られる行動の特徴について解説します。

何もないのにニヤニヤ笑う

突然ニヤニヤ笑い出すことを「空笑」といいます。

統合失調症の方は、幻聴に対してニヤニヤするだけではなく、突然大声で笑い出したりすることもあります。

また、幻聴に対していきなり怒り始めることも珍しくありません。

統合失調症になると、反対に表情が乏しくなることもあります。幻覚や幻聴の症状がない場合は、表情の乏しさが病気を見分けるためのヒントになります。

そのため、「ニヤニヤ笑っていないから統合失調症ではない」ということにはならない点に注意しましょう。

表情をよく観察して、「突然感情表現が激しくなった・なくなった」といった変化に気づけるようにすることが重要です。

ひどい独り言がある

独り言のことを「独語」といいます。

統合失調症の方は、幻聴に対して話しかけたり応答したりすることが珍しくありません。

ブツブツと話すこともあれば、はっきりとした声で話すこともあります。

幻覚や幻聴以外にも「電気を送られているような感覚」などが発現することもあり、それに対する叫び声を上げることも多々あります。

現実と妄想の区別ができていないケースが多いため、「ないもの」に対して話しかけてしまうのです。

目的に適していない行動を取る

統合失調症の方は、認知機能が低下したり考えがまとまりにくくなったりするため、それが原因となって目的と行動が結びつかないケースが多々あります。

そのため、周りからすると疑問を覚えてしまうような行動が増えてしまうのです。

たとえば、電磁波から身を守るために電子機器を破壊して回ったり、家中を漁って監視カメラを探したりすることがあります。

また、異常な回数で手を洗ったり、食事を拒んだりすることもあります。

こういった行動を取る場合、強迫性障害や摂食障害といった別の精神疾患を併発している可能性があるので気をつけなければいけません。

場合によっては万引きなどの犯罪に手を染めるおそれもあるため、十分な監視をしつつ、医療機関で早期治療することが肝心です。

情緒が不安定

統合失調症の方は、幻覚や妄想が現れる陽性症状と、意欲が低下する陰性症状が急に入れ替わることがあります。

そのため、急に怒り出したり無気力になったりと、情緒不安定になることが多い傾向にあります。

無気力な状態も本人や周囲の方にとって辛いものですが、怒ったり攻撃的になったりする症状が現れる場合は、とくに注意が必要です。

最悪の場合、家庭内暴力や大声による近隣トラブルに発展してしまうおそれがあります。

このような症状が出ている場合は、精神科の病棟に入院してしっかりと治療に専念することを検討すべきです。

入院に抵抗感を抱く方もいますが、病棟では規則正しい生活を送りながら、スポーツなどの作業を行ってゆっくりと心と体の回復を目指すため、過度に恐れる必要はありません。

精神科への入院は決して怖いことではなく、統合失調症の寛解を目指すための近道です。

精神科に入院するときの生活については以下の記事で紹介しているので、不安を取り除くためにもぜひ参考にしてみてください。

精神科に入院するとどんな感じの生活になる?治療法も併せて解説

統合失調症患者の会話の特徴が見られたら、すぐに精神科を受診しましょう

統合失調症の患者様は、考えがまとまらなくなったり意欲が低下したりするため、会話や表情に特徴が見られます。

この記事で紹介したように、急に会話が噛み合わなくなったり非合理的な行動を取るようになったら、統合失調症を疑う必要があります。

統合失調症から回復するためには、早期発見や早期治療が必要不可欠です。少しでも違和感を覚えたら放置せず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

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