統合失調症とうつ病の違いは?症状や治療法を解説
精神的な病気にはさまざまなものがありますが、なかでも症状が似ている病気として「統合失調症」と「うつ病」の2つが挙げられます。
どちらも気分が落ち込んで意欲が低下する症状が現れる病ですが、それぞれにはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、統合失調症とうつ病の違いについて解説します。ご自身やご家族、周囲の方に当てはまる症状があるときは、すぐに医師へ相談して早期治療に取り組みましょう。
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統合失調症の主な症状
統合失調症とは、ストレスや脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることによって発症すると言われている疾患のことです。
うまく考えがまとまらなくなったり意欲が低下したりすることが主な症状です。
統合失調症とうつ病の違いをしっかりと比較するためにも、まずは統合失調症の症状について詳しくみていきましょう。
妄想(被害妄想)
統合失調症になると、激しい妄想が症状として現れるケースが多い傾向にあります。
そのほとんどが被害妄想で、「誰かに命を狙われている」「周りから悪口を言われている」といった不安を周囲に打ち明けることも少なくありません。
また、たまたま見たテレビやネットの情報が、自分を監視して得た情報であると思い込むことも多々あります。
統合失調症になると、現実と妄想の見分けがつかなくなってしまってしまい、実際にはありえないことを現実かのように思い込むことが増えます。
幻覚・幻聴
統合失調症が重症化すると、幻覚や幻聴の症状が引き起こされます。幻覚や幻聴によって、妄想の症状がさらに悪化するケースも多いです。
幻覚と幻聴は似ていますが、幻覚は「誰かに監視されている」と感じてしまう症状、幻聴は「みんなが自分の悪口を言っている」と感じてしまう症状です。
幻覚と幻聴は過度な独り言や自傷行為、周りへの暴力に発展することが多いため注意する必要があります。幻覚や幻聴の症状が悪化して周りに危害が及ぶケースは決して珍しくありません。
一度症状が深刻化しても、薬物療法によって大幅に改善される可能性はあるため、早めに医療機関で治療を受けることが大切です。
会話が成立しない
統合失調症の患者様には、考えや思考がまとまらなくなりやすいという特徴があります。この症状の影響で、支離滅裂な言動になることが多々あります。
「異常なほど話が飛ぶ」「明らかに支離滅裂なことを言っている」「問いかけに対する返答が適切ではない」といった症状が現れているときは、統合失調症の可能性が高いです。
また、統合失調症の患者様は認知力や理解力が低下しているため、会話のテンポが悪くなったり問いかけに対する返答が遅くなったりすることもあります。
会話をしていて日常的に違和感を覚えることが増えたときは、ほかに病気の兆候がないか注意しながら見てあげましょう。
うつ病の主な症状
うつ病とは、心と体のエネルギーが低下した状態が長期間続く病気のことです。精神的な症状だけが現れると考えている方も多いかもしれませんが、実は身体的な症状も多い疾患です。
ここからはうつ病の主な症状についてみていきましょう。
気分に関する症状
みなさんがイメージしているとおり、うつ病は気分に関する症状が多い疾患です。
ストレスが原因で気分が落ち込んだまま、何もできなくなって日常生活に大きな支障をきたします。また、とくに理由もないのに憂鬱になったり悲観的になったりすることもあります。
患者様自身、どうして気分が落ち込んでいるのかをはっきりと理解していないケースは少なくありません。たとえ気分が落ち込む原因がわかっていてそれが解決されても、気分が回復しにくい点がうつ病の特徴です。
そのため、周囲の方が「何かあったら話してよ」「どうしたらストレスがなくなるの?」と声をかけても、なかなか問題が解決しにくい傾向にあります。
意欲に関する症状
うつ病になると、何をするのも億劫になります。今までは楽しんでいた趣味に対してもやる気がなくなるため、周囲の方はびっくりしてしまうかもしれません。
また、やる気がなくなってしまうことによって、仕事のミスが増えたり注意不足になったりすることもあります。
やりたいことが思うようにできなくなると、イライラしたり焦ったりして、自分を責めてさらに気分が落ち込んだり意欲が低下したりする悪循環に陥ることも珍しくありません。
周囲の方が優しく声をかけ、焦らずにゆっくりと回復を促すことが大切です。
身体的な症状
うつ病の方には、身体的な症状も現れます。
現れる症状は人によって違いますが、気分の落ち込みや意欲の低下とともに下記のような症状が長期間続く場合は、うつ病の可能性があるかもしれません。
- 異常に疲れやすい
- 食欲がなくなる
- 性欲がなくなる
- 眠れない、もしくは寝過ぎてしまう
- 頭痛や肩こりに悩まされる
- 胃の不快感や痛みに悩まされる
- めまいや動悸がある
- 便秘や下痢を繰り返す
- 異常に口が渇く
こういった症状を放っておくとうつ病が進行してしまうだけではなく、適切に食事を取れなくなる摂食障害や、眠れなくなる不眠症につながるおそれがあります。
健康に大きな悪影響をもたらしてしまう可能性があるため、身体的な症状が現れている場合は、早めに精神科もしくは心療内科を受診しましょう。
うつ病と統合失調症は併発する?
うつ病と統合失調症は非常に症状が似ている疾患ですが、両方を併発することはあるのでしょうか。
実は、うつ病から統合失調症に症状が転換することは決して珍しくありません。
うつ病で初めて入院となった患者様の9人に1人は、うつ病からほかの疾患へと診断転換が行われることがわかっています。
このことから、うつ病とほかの精神疾患を併発することは決して珍しくなく、診断では慎重な判断が必要であることがわかります。
うつ病から転換することが多い疾患は、実は統合失調症だけではありません。
さまざまな精神疾患への転換が見られますが、なかでもとくにパーソナリティ障害や双極性障害への転換が多い傾向にあります。
うつ病と統合失調症の治療法の違い
うつ病と統合失調症は症状が非常に似ている疾患ですが、治療方法には違いがあります。
統合失調症は、主に薬物療法と精神療法の2つの方法で治療を行います。
- 薬物療法
薬を用いた治療法です。「抗精神病薬」と呼ばれる薬を用いて、妄想や幻覚を含む「陽性症状」、意欲の低下を含む「陰性症状」、集中力や注意力の低下を含む「認知機能障害」を改善し、再発を防ぎます。
特に、陽性症状が出ているときは、症状を抑えるために、薬物療法を取るケースが非常に多いです。
- 精神療法
話をしたり、話を聞いたりすることで精神疾患からの回復を目指す治療法です。
患者様の話に耳を傾けてサポートする「支持的精神療法」や、カウンセラーが積極的に助言して考え方や行動の習慣を変える「認知行動療法」などを行います。
精神療法は、自分の考えに自信を持てない方や、考えが混乱しやすい方に向いています。
うつ病の治療では、上記の2つの治療方法に加えて、心身を休めるための環境調整が必要です。
環境調整とは、うつ病を引き起こす原因や環境的要因を取り除く治療法です。たとえば、職場の上司がストレスの原因である場合は、休職や配置換えをしてみます。
統合失調症とうつ病の治療法はおおむね似ていますが、病気によって治療するうえでの注意点や、周囲の方が気を付けるべきポイントが異なります。
ご家族の独断で治療を行ったりお一人で不安を抱えたりせず、医師の意見を取り入れて治療に取り組むことが大切です。
統合失調症かうつ病の疑いがあったら精神科にかかりましょう
考えがまとまらなくなって妄想や幻覚、意欲の低下などを引き起こす統合失調症と、気分が落ち込んで意欲や身体に影響が出るうつ病は、症状が似ている精神疾患です。
とくに、意欲が低下する統合失調症の「陰性症状」とうつ病の症状は酷似しているため、周囲の方が自己判断で診断してしまうことは危険です。
統合失調症やうつ病の症状に心当たりがある方は、銀座の心療内科梅本ホームクリニックまでご相談ください。
症状が重くお一人での外出が難しい場合も、在宅医療で患者様とご家族をサポートいたします。
症状や治療にご不安を抱えている方は一人で悩まず、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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