統合失調症

統合失調症の症状や経過【治療に用いる薬についても解説】

統合失調症の症状や経過【治療に用いる薬についても解説】

統合失調症は、考えや気持ちがまとまりづらくなってしまう病気です。

国内で80万人以上の患者様がいる、比較的ポピュラーな精神疾患といえます。

治療は薬を使う薬物治療と、リハビリテーションや精神療法を行う心理社会的治療を組み合わせて行われます。

身体の疾患などと同様に、統合失調症も早期発見・早期治療が大変重要です。

発見が早ければ早いほど症状は軽く済み、治療期間も短くなります。
ごく軽症の場合には、薬物治療を行わず精神療法だけで改善する場合もあるのです。

今回は統合失調症の症状や発症するまでの経過、治療に使用される薬などについてご紹介します。

統合失調症ではどのような薬を使用するのかや、ご家族が服用している薬がどのようなものであるのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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統合失調症の代表的な症状

統合失調症の代表的な症状は、妄想・まとまりのない言動・意欲の低下があげられます。
それぞれ具体的にご説明しましょう。

幻覚・妄想

統合失調症で最も特徴的なのがこの幻覚・妄想の症状です。

幻覚とは、本当は存在しないものがあるように感じることであり、妄想とは、真実ではないことを真実だと思い込むことです。

統合失調症の人は、幻覚の中でも特に、実際には誰も話していないことが聞こえてしまう幻聴がある人が多い傾向にあります。

「悪口を言ってくる」「命令してくる」「脅迫してくる」など、悪意のある内容が聞こえてくると訴える患者様が多いです。

統合失調症の妄想は、本来は関係ないはずの周囲の出来事や他人の言葉を、自分に関連づけてしまうことが最大の特徴です。

特に「攻撃されている」「監視されている」というような被害妄想が多く、患者様は不安や恐怖を強く感じていることも少なくありません。

また、妄想は基本的に他人が訂正しても受け入れられないことから、自覚させることが非常に難しいことも、難しいポイントと言えます。

まとまりのない行動や言動

統合失調症は考えや気持ちがまとまりづらくなる病気のため、行動や言動もその影響を受けます。

突然脈絡なく怒り出したり、逆に全く無反応になったりなど、周囲には理解できない行動が見られ、言動が支離滅裂になることも多いです。

こうした行動や言動は、妄想とかけ合わさることで突然の激しい興奮や暴言・暴力に繋がってしまう場合があります。

暴力的な行動がひどいときには、患者様自身や周囲の人を守るために、入院治療などの措置が取られます。

なお、精神科に入院した際の具体的な生活については、下記の記事で解説しています。

入院後の生活が気になる方は、併せて参考にしてください。

精神科に入院するとどんな感じの生活になる?治療法も併せて解説

意欲の低下

統合失調症になると、喜怒哀楽を感じることが減って感情が平坦になり、ものごとに関する興味や意欲が低下してしまいます。

この意欲の低下は、単なるやる気のなさで片付くものではない場合が多いです。

無治療で悪化させてしまうと、積極性がなくなって学校や会社に行くことを億劫に感じるばかりか自室に引きこもり、入浴したり着替えたりといった、身だしなみも整えられない状態になることが珍しくありません。

表情や声はどんどん単調になっていくため、コミュニケーションに大きな悪影響がもたらされることも非常に多いです。

なお、意欲の低下は、うつ病などでも見られるため、ご家族でこのような症状が見られた場合は、すぐに精神科を受診することを推奨します。

統合失調症の経過

統合失調症が発症してからの経過は、下記の3つに分けられます。

  • 前駆期
  • 前兆期
  • 急性期

それぞれ順番に解説します。

前駆期

前駆期は、本格的な統合失調症の症状が現れる前の前駆症状が出現する時期です。
この時期に生じることが多い症状は、不眠、集中力の低下などが挙げられます。

前駆症状は、精神疾患による症状であると自覚できないことが多い傾向にあります。
多くの人は体の不調だと思いこんでしまうのです。

おかしいと思って内科を受診し、体に異常がないと言われて放置してしまうケースもあります。
この時期にストレスを減らすなどの正しい対処ができれば、本格的な統合失調症の発症を防ぐことに繋がります。

前兆期

前兆期は、前駆期よりもはっきりとした症状がで始める時期です。

漠然とした不安感や焦燥感を感じ、強く何かを「やらなければ」と思ってしまう強迫症状などが生じることもあります。

この頃から徐々に社会適応に適応できなくなりはじめ、不登校や欠勤が増えていくことに繋がります。

精神疾患ではないかと疑いを持ち始める人が多いのもこの時期からです。

しかしまだはっきりと統合失調症の特徴的な症状が出ていないために、受診してもうつ病などの、違う病気が疑われてしまうこともあります。

急性期

前駆期・前兆期からさらに悪化し、明らかな統合失調症の症状が出てしまう時期です。
典型的な幻覚や妄想などの症状が引き起こされます。

この時期まで至ると対人関係に大きな影響をもたらし、社会生活を送ることが困難になるばかりか、日常生活を送るのも難しくなってしまう場合も珍しくありません。

症状が酷く患者様自身や他者を傷つけてしまう場合には、強制入院が必要になるケースもあります。

統合失調症の治療に用いられる代表的な薬

統合失調症の治療には主に抗精神病薬が使われます。

抗精神病薬の主な作用はドーパミンの受容体である、D2受容体を遮断することです。

ドーパミンとは神経伝達物質で別名「快楽物質」と呼ばれており、通常では人にやる気や幸福感を与えてくれるもの。

統合失調症の原因は実はまだはっきりと解明されていません。

しかし統合失調症の幻覚や妄想といった症状は、ドーパミンが多く分泌されすぎてD2受容体が異常に活性化してしまうことで生じると考えられています。

抗精神病薬を使うと、ドーパミンとD2受容体が結合するのを防ぎ、幻覚や妄想など症状改善に役立つのです。

抗精神病薬には定型精神病薬と非定型精神病薬があり、双方共にドーパミンとD2受容体が結合するのを防ぐ効果がありますが、少々薬効が異なり症状によって使い分けられています。

定型抗精神病薬

定型抗精神病薬は、ドーパミンとD2受容体が結びつくのを抑制するのが主な作用で、幻聴や妄想、まとまりのなさといった、いわゆる陽性症状を抑える効果が高い薬です。

副作用は、のどの渇き、意欲や関心の低下、性欲低下、めまいや眠気などの精神系の症状の他に、手足のふるえなどの錐体外路系の症状、女性化乳房などの内分泌系の症状などがあります。

コントミン、ノバミン、セレネース、フルメジン、ドグマチールなどの商品名の薬が、この定型抗精神病薬です。

非定型抗精神病薬

対して、非定型抗精神病薬はドーパミンとD2受容体の結びつきを抑制する作用はあるものの定型抗精神病薬よりもその効果は控えめで、その分セロトニン(リラックス物質)の働きを抑え、ドーパミンを活性させる作用を持っています。

感情の平坦化や意欲の低下などのいわゆる陰性症状は、ドーパミンが活性化することで改善します。
そのため非定型抗精神病薬は陽性症状にも効果がありますが、陰性症状の改善にも高い効果があり、引きこもりや極端な意欲低下などが見られる方に使われるのです。

副作用には、頭痛、めまい、眠気などの神経系の症状や、足がむずむずしたり、無性に体や足を動かしたくなるアカシジアという特徴的な症状があります。

エビリファイ、リスパダール、インヴェガ、ゼプリオン、ロナセン、ルーランなどの商品名の薬がこの非定型抗精神病薬です。

エビリファイは、現在統合失調症の治療に最も多く使われている薬になります。

統合失調症で使用される薬の中で、具体的な薬名について知りたい方は、下記の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。

統合失調症で使用する薬の一覧と作用を分かりやすく解説します

統合失調症かなと思ったらすぐに精神科を受診しましょう

統合失調症は症状が軽いうちに治療を受けた方が治りやすく、治療期間も短く済みます。
早期発見、早期治療が肝心なのです。

体の不調はないのに最近あまり眠れない、ものごとに集中できない、神経が過敏な気がする、などの前駆症状に気付いたら、できるだけ早めに精神科を受診しましょう。

ごくごく軽い段階で発見できれば、薬を使うことなく精神療法で改善が可能な場合もあります。

あなたがご自身のことや周囲の方のことで「統合失調症かも...」と悩んでいらっしゃるなら、まずはエフェメールクリニックに受診してみてください。

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