子供が統合失調症かも?チェック方法と症状を詳しく解説します
幻覚や妄想、意欲の低下、認知機能障害など、さまざまな症状が現れる統合失調症。
環境的な要因や強いストレスによって引き起こされる統合失調症は、100人に1人が発症する精神病です。そのため、子供が統合失調症に罹患してしまうことも多々あります。
統合失調症は病状が進行すると激しい症状が現れるため、親御様のなかには強いショックを受けたりご自身を責めたりする方もいることでしょう。
しかし、統合失調症は決して珍しい病気ではないため、過度に気に病む必要はありません。
この記事では、「子供が統合失調症かもしれない」と思っている親御様に向け、統合失調症の症状やチェックリストを紹介します。病気との向き合い方を知って、早期回復を目指しましょう。
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統合失調症とは
統合失調症とは、こころや考えがうまくまとまらなくなる精神的な病気です。
代表的な症状としては幻聴や妄想、活動意欲の低下などが挙げられ、人間関係や行動に大きな影響を与える可能性が非常に高い点が特徴的です。
統合失調症になると、以下の2つの症状が現れます。
◎陽性症状
- 幻聴:聞こえないはずの声が聞こえる
- 幻視:見えないはずのものが見える
- 幻嗅:におわないはずのものがにおう
- 妄想:事実ではないことを信じ込む
◎陰性症状
- 感情や表現力が乏しくなる
- 意欲が低下する
陽性症状では「ないはずのものがある」と思い込むようになり、陰性症状では「あるべきものがなくなる」症状が現れる点が特徴的です。
統合失調症の患者様は、「支離滅裂なことを言っている」「言動がおかしい」といった多くのサインを発していますが、本人には病識がないことがほとんどです。
周りの方がよくチェックしてあげて、必要であれば精神科や心療内科への受診を促しましょう。
統合失調症は日本でおよそ100人に1人が発症しており、珍しい病気ではありません。
症状によっては周囲の方が大きなショックを受けるかもしれませんが、治療によって安定した状態を維持している患者様も多いため、じっくりと治療に向き合えば回復できます。
統合失調症の初期症状
こころや考えがまとまらなくなる病気と聞いても、具体的にどのような症状が現れるのかイメージできない方は多いでしょう。
統合失調症を適切に治療するためには、初期症状を見逃さずに早くから治療をスタートすることが肝心です。
ここからは、統合失調症の初期症状について説明します。
軽度の妄想や幻想が見られる
統合失調症のおもな症状は、幻覚や妄想です。明らかに存在していないはずの物が見えたり聞こえたり、間違った事実を信じ込んでしまったりします。
本人は見えたり聞こえたりしているのに、ご家族や医師などの周囲の人が否定する場合は、統合失調症の陽性症状が出ている可能性が高いでしょう。
なお、統合失調症に罹患すると、被害妄想が増える傾向にあります。
そういった事実がないのに、「悪口を言われていじめられている」「監視や盗聴をされて狙われている」といった発言が気になるときは、早めに医師へ相談しましょう。
引きこもりや不登校になる
必ずしも統合失調症に直結する初期症状ではないものの、陰性症状の影響で引きこもりや不登校になることがある点についても理解しておきましょう。
統合失調症の原因だと考えられているストレスが意欲の低下を引き起こし、引きこもりや不登校になってしまうケースは多々あります。
「何もない状態でも顔をしかめている」「言動が荒くなった」といった引きこもり以外の症状がある場合は、とくに注意が必要です。
子供の様子をよく観察して、日常生活で気になる変化があるときにすぐサポートできるよう、常日頃から気を配っておきましょう。
できていた習慣ができなくなる
統合失調症であるかどうかの判断基準として、「今までできていた習慣ができなくなっていないかどうか」というものが挙げられます。
統合失調症になると、陽性症状や陰性症状の影響で日常生活に大きな支障が生じます。そのため、当たり前だった習慣ができなくなる症状が現れたときは、とくに注意してください。
たとえば、「朝食を食べて学校に行くことができなくなった」「友達づきあいが急になくなった」「お風呂に入れなくなった」などの症状が見られた場合は注意が必要です。
統合失調症以外の病気のリスクも考えられるため、できる限り早く心療内科を受診した方がいいでしょう。
なお、思春期にかかりやすい精神疾患の種類についてはこちらの記事でも紹介しています。あわせてご覧ください。
子供が統合失調症かどうかをチェックする方法
統合失調症の診断には医師の診察が欠かせませんが、可能性があるかどうかをご自身で判断したい場合は、簡単なセルフチェックを行うことがおすすめです。
お子様に気になる症状があるときは、以下の質問をして当てはまる項目数を数えてみましょう。
- 勝手に色々な考えが浮かび、止められなくなったことがある
- 周囲の人に悪口を言われている、狙われていると感じる
- 追い詰められている、逃げ場がないなど、緊迫した気分で戸惑うことがある
- すぐ理解できていた会話や簡単な文章が理解できなくなった
- 周りの人や自分の体が現実のものと思えないように感じる
- 自分を責めたり命令したりしてくる声が聞こえる
- 人と話すことが苦痛で、会話を避けるようになった
- 自分の考えていることが周りにもれていると感じる
- 集中したりとっさの判断をしたりできなくなった
- 何をするのも億劫で、気力や意欲がわかない
以上の10項目のチェックリストのうち、3つ以上当てはまっているとお子様が言った場合は、早めに精神科などを受診する必要があります。
統合失調症を放っておくとどうなるのか
統合失調症は、早期治療を行えば大きく改善できる精神疾患です。
患者様のなかには、薬の服用やカウンセリングなどの適切な治療により、学校生活や仕事に戻る方も多くいらっしゃいます。
それでは、反対に統合失調症の症状が出ていながらも適切な治療を行わない場合は、どうなってしまうのでしょうか。
強い幻覚や幻聴が日常的に起こるようになる
統合失調症は、放っておくと病状が徐々に進行します。とくに多いのが、激しい被害妄想や幻覚の症状です。
思い込みが激しくなっていき、どこまでが現実でどこまでが現実でないのかが区別できなくなります。
たとえば、隣の家の窓が閉まっただけなのに「監視されている」と思い込んだり、新聞やテレビが「暗に自分のことを報道している」と思い込んだりするのはよくある症状です。
被害妄想のあまり、家から一歩も出られなくなったり電子機器をすべて破壊したりして、日常生活がままならない方も珍しくありません。
認知機能障害が見られる
認知機能障害とは、言葉を覚えることや物事に注意を向けること、行動や作業が困難になる障害のことです。
統合失調症の患者様は、脳での情報処理が活発化しすぎてオーバーフローを起こしている状態です。症状が悪化すると脳にダメージを与えて、脳萎縮を起こして機能を低下させてしまうことがあります。
脳機能が低下すれば、集中力が低下したり物覚えが悪くなったりします。
勉強はもちろんのこと、趣味を楽しむことや日常の些細な行動も難しくなり、無気力な状態で動けなくなる症状にも注意が必要です。
「今までできていたことができなくなった」という場合は、認知機能障害の可能性があります。統合失調症の場合、無気力な状態と強い妄想による興奮状態が突然入れ替わることが多々あります。
統合失調症を放置するリスクについては、こちらの記事で詳しくご覧ください。
統合失調症の子供にやってはいけないこと
統合失調症の症状には強い被害妄想があり、その影響で対人関係に過敏になる傾向があります。
そのため子供と接する際に親御様が気をつけなければいけないポイントは、多数存在しています。
ここからは、統合失調症の子供にやってはいけないことについてみてみましょう。
批判的な声かけをする
統合失調症の症状は、本人だけではなくご家族の方にも苦しい思いをさせることがあります。辛さのあまりついつい批判的な言葉を発したくなることがあるかもしれませんが、本人を批判する声かけは避けましょう。
統合失調症の患者様は、ほかの人が気にしないような些細な冗談を真に受けてしまいます。
ショックを受けて落ち込んだり病気の再発の引き金になったりするため、できる限り優しく誤解させないように声をかけることが大切です。
医師の治療に対して、不満をこぼさないようにする
「この薬は本当に効くの?」「あの医師は信頼できるの?」など、子供の前で医師や治療内容に関して不満をこぼすことは避けてください。
親御様が医師に疑念を持つと、子供も医師を信頼できなくなり、適切な治療を行うことが難しくなるためです。
子供は親御様の意見に強く影響されるため、医師の治療以外に対しても同様です。
統合失調症の子供は、親御様の不満などの矛先が攻撃対象になる可能性も考えられるため、本人の前で人や物事を批判することは避けたほうが安心でしょう。
自分を責めない
統合失調症の子供の前で、親御様が自分を責めることもやってはいけません。
親御様のなかには、「自分の子育てが悪いから統合失調症になってしまったのでは」と自分を責める方もいるでしょう。
しかし、子供の統合失調症と子育ての方法には因果関係がありません。統合失調症の原因は明確にわかっていませんが、環境的な要因や過剰なストレスが引き金になっていると考えられています。
病気になったのは決して親御様のせいではないことは、必ず押さえておきましょう。
自分を責めている姿が統合失調症の子供のストレスになる可能性が高いことを、しっかりと理解しておきましょう。原因を探して自分を攻めるよりも、常に子供の味方であることをちゃんと伝えて、寄り添ってあげることが一番大切です。
統合失調症の診療で行うこと
統合失調症の疑いがある患者様の場合、ほかの精神疾患も視野に入れて診療を行うことが重要です。
最初に、症状や日常生活の状況について質問する「問診」が実施されます。さらに、知的障害や発達障害、うつ病、不安障害などといった精神疾患と区別するために、心理テストを行うこともあります。
ほかにも、脳腫瘍や甲状腺疾患といった身体疾患の可能性、薬物の影響を受けているかどうかを確認する目的で、CTやMRIを実施するケースも多いです。
血液検査や脳波検査、髄液検査などを行うこともあります。
こういった、さまざまな検査でほかの病気の可能性を否定することを「鑑別診断」といいます。統合失調症の症状には別の疾患と共通する点が多いため、経過を見ながら慎重に鑑別診断を下すことが大切です。
子供に統合失調症の疑いがあればすぐに心療内科を受診しましょう
幻覚や妄想、意欲の低下、認知機能障害など、さまざまな症状が引き起こされる統合失調症。
症状が進行すると親御様はショックを受けてしまうかもしれませんが、しっかりと治療を続ければ、日常生活に戻る状態まで回復することは可能です。
自分を責めたり子供を批判したりせず、ご本人に寄り添って一緒に治療へ向き合うことが重要です。統合失調症の患者様のなかには、精神科や心療内科まで赴いて受診することに強い不安を抱く方もいます。
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