家族を精神科に入院させたい場合はどうすれば良い?
ご家族が精神疾患を患っており、適切な対処法が分からないため、患者様を入院させたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
精神科の入院には、多くの制度や入院が認められるケースが決まっているため、これらを把握した上で、精神科を受診することが大切です。
本記事では、精神科における入院制度や入院が認められるケース、入院時の注意点を解説するとともに、入院よりも前に考えるべき服薬と在宅医療についてもご紹介します。
ご家族を精神科に入院させたいと考えている方は、ぜひ本記事を参考にして、改めてどのような治療が最適かを検討すると良いでしょう。
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精神科における入院制度
精神科において、用意されている入院制度は大きく分けて下記の3つです。
- 任意入院
- 医療保護入院
- 措置入院
- 応急入院
それぞれ順番に解説します。
任意入院
任意入院とは、患者様の意志によって入院することです。任意入院の場合、患者様自身で退院のタイミングを判断できるため、好きなタイミングで退院することが可能です。
当然ながら、任意入院の際に病状が悪化し、退院するべきではないと判断された場合は、退院の許可が降りません。
その際は、医療保護入院に切り替わり、医療機関の見守りのもとで療養を行います。
なお、任意入院は内科や外科の入院と同じ扱いとなるため、精神保健指定医の診察は不要です。
医療保護入院
医療保護入院とは、精神保護指定医が入院の必要性を感じたものの、患者様本人が入院を拒否する場合、患者様のご家族などが入院に同意することで強制的に入院が行われることです。
ここで言う「患者様のご家族など」は、精神保健福祉法によって、下記のように定義付けられています。
- 配偶者
- 親権を行うもの
- 扶養義務者
- 後見人、保佐人
医療保護入院では、本人の意志にかかわらず入院した上で治療が行われ、退院のタイミングも医師によってコントロールされます。
措置入院
警察官が自傷他害の可能性のある者や、すでにこれらを行っている者を発見した場合、保健局長を通じて、都道府県知事に通報します。
通報を受けた都道府県知事が調査を命令し、調査の上で診療が必要と判断され、2名の特定精神保険医から入院の必要性が認められた場合に、措置入院が行われます。
措置入院の場合は、自傷他害の恐れがないことを認められるまでは退院が許されません。
また、措置入院の中でも緊急性を要する場合は、1名の特定精神保険医から入院の必要性が認められることで、72時間限定で措置入院を行うことが可能です。
これを、緊急措置入院と言い、この間に再度診療が行われ、入院の継続が必要かどうかが判断されます。
応急入院
応急入院とは、入院した上での治療の必要性が認められる一方で、患者様本人が入院を拒否している場合に、制限を設けて入院を強制できるものです。
措置入院とは異なり、都道府県知事からの調査が不要であり、主に身元が分からない患者様や保護者と連絡が取れない患者様に適用されます。
応急入院では、精神保健指定の診察では72時間、特定医師の診察では12時間が入院が可能です。
精神科への入院が認められるケース
精神科への入院が認められるケースは下記の通りです。
- 自傷あるいは他人に害を与える可能性があるとき
- 摂食障害が起きているとき
- 認知症の悪化などによって、家庭で介護が不可能なとき
- 幻聴や幻覚症状が強いとき
それぞれ順番に解説します。
自傷あるいは他人に害を与える可能性があるとき
病気の種類にかかわらず、自傷あるいは他人に害を与える可能性があるときは、精神科への入院が認められます。
自傷他害の場合は、患者自身が無自覚であることも少なくないため、周りのご家族や介護者が精神科に連れて行き、医師の診断のもとに医療保護入院が行われることがあります。
ご家族の中で自傷他害が見られた場合は、患者様自身と、自分自身の身を守るためにも、精神科を受診し、適切な治療を施してもらうことが大切です。
また、医療保護入院のほかにも、外でこのような行動が見られた場合は、警察の通報による措置入院となることもあるでしょう。
摂食障害が起きているとき
統合失調症やうつ病などの精神疾患を持つ患者様の中には、摂食障害が起きていることも多く見られます。
摂食障害が起きてしまうと、十分な栄養を摂取できず、心身ともに衰弱してしまいます。
また、栄養不足による心身の衰弱のみならず、誤嚥などによる命の危険性があることも把握しておかなければなりません。
長期的な食欲の減退などの摂食障害が見られる場合などは、必ず精神科を受診しましょう。
認知症の悪化などによって、家庭で介護が不可能なとき
認知症や統合失調症が悪化すると、家庭内暴力や過度な興奮状態の継続、深夜徘徊などに繋がります。
ご家族の中でこれらの症状に対して適切に対応することは非常に困難であり、誤った対応をすることで、より症状を悪化させたり、自身の身に危険が及んでしまったりすることも珍しくありません。
このように、家庭での適切な介護が不可能な場合や、介護施設等でも手に負えない場合は、入院が認められます。
幻聴や幻覚症状が強いとき
精神疾患による幻聴や幻覚症状が強い場合も、精神科への入院が認められます。
特に、統合失調症が原因となる、幻聴や幻覚症状が強い場合は自傷他害につながることも多いため、入院を検討するべきでしょう。
また、幻聴や幻覚だけではなく、過度な妄想などによって、社会生活が困難と思われる場合も入院が認められるケースがあります。
これらの症状は周りの人がいくら患者様にはたらきかけても、暖簾に腕押しとなるばかりか、病状の悪化を招くリスクもあるため、必ず医師に相談しましょう。
精神科に入院させる際の注意点
精神科に入院させる際には、下記の注意点を事前に押さえておくことが大切です。
- 入院費がかかる
- 病院の特殊な環境によって悪化する恐れがある
それぞれ順番に解説します。
入院費がかかる
当然ながら、入院することによって入院費がかかります。入院形態や病状によって異なるものの、精神病棟に入院する場合、月額5〜10万円の費用が必要となることが多いです。
精神科の入院については、日本の公的支援を活用することによって、入院費用を抑えられます。
公的支援の手続き等は非常に難しく感じられる方も多いでしょう。その場合は、精神保健福祉士などに相談し、患者様のケアと同時に、適切な申請ができるように支援してもらうことが大切です。
病院の特殊な環境によって悪化する恐れがある
入院することで、常に医療従事者に囲まれているという安心感はあるものの、患者様は強いストレスを感じる可能性があります。
なぜなら、集団生活になる上に、自宅での生活とは異なるリズムで生活する可能性が高いからです。
食事の量や時間、起床・就寝時間などは、病院と一般家庭では大きく異なることも多く、その差によってストレスを感じてしまうのです。
ただし、これらのストレスは病院の生活に慣れないことによる一過性であることも多く見られます。
病院での生活に慣れることによって、適切な生活リズムを取り戻し、病状が安定するケースも見られるため、ご家族はじっくりと見守ってあげましょう。
服薬によって精神疾患の症状が和らぐケースが多い
精神疾患は、治療が困難な病気の1つであると思われがちですが、服薬によって症状が和らぐケースは非常に多いです。
たとえば、統合失調症の場合は抗精神薬の継続的な服用によって、症状を大幅に抑えられます。
近年では、患者様の精神的な負担を最大限抑えるために、服薬と在宅医療による精神疾患の治療も増えてきています。
訪問医療に対応している精神科を受診することで、患者様の負担を最大限に軽くした状態での治療が可能です。
ご家庭で患者様の様子を見ながら、どのような治療法が最も患者様のためになるのかを考えた上で、入院などを検討することを推奨します。
まずは服薬と在宅医療による療養を検討しましょう
本記事では、精神科に入院する際の入院制度や、入院が認められるケースについて解説しました。
精神疾患を持つ患者様にとって、入院は効果的な治療法であるケースも見られますが、患者様の心身への負担を考慮すると、自宅での療養が望ましいことも往々にあります。
そのため、精神疾患でご家族がお悩みの場合も、まずは、服薬による症状の抑制と在宅医療による療養を検討するべきでしょう。
銀座の心療内科梅本ホームクリニックでは、睡眠障害の診察等も行っております。
自宅で診察や治療を受けられる在宅医療にも対応しており、患者様の状況を細やかに把握することが可能です。
不調によって通院が難しい場合もお気軽にご相談ください。
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