睡眠時無呼吸症候群の重症度分類・概要

睡眠時無呼吸症候群の重症度分類・概要

あなたは眠っている間、いびきをかきますか?または周りの人から、「いびきが急に止まってまた始まった」、「睡眠中に息をしていなかった」と指摘されたことはありませんか?
もしかするとそれは、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。そしてこの病気は放っておくと様々な合併症を引き起こします。

 

この記事では睡眠時無呼吸症候群の症状や合併症、診断の方法や重症度をわかりやすく解説していきます。

 

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止を繰り返すことで、様々な合併症を引き起こします。いくつか種類がありますが、最も多いのが閉塞型睡眠時無呼吸症候群です。これは鼻腔や口腔、上気道の空気の通り道が狭くなることによって起こります。首回りの脂肪が多い肥満の人、扁桃肥大、舌が大きい、顎が小さい、鼻炎・鼻中隔湾曲なども原因となります。

 

睡眠時無呼吸症候群では、きちんとした睡眠がとれていないストレスにより高血圧、動脈硬化、血糖値の上昇、生活習慣病の悪化が引き起こされます。
中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群を放置していると、心筋梗塞や脳梗塞、生活習慣病や事故などにより死亡率が非常に高くなるため、すぐに治療を開始する必要があります。

 

睡眠時無呼吸症候群の症状

いびき、慢性的な睡眠不足、日中の眠気、夜間頻尿・不眠、起床時の頭痛や疲労感、制欲減退、性格変化、抑うつ状態などがあります。
睡眠時無呼吸症候群になると夜間眠っている間に呼吸が止まり、体内の酸素濃度が低下します。酸素濃度の低下に体が反応すると再び呼吸することを一晩中繰り返します。これにより睡眠が阻害され、慢性的な睡眠不足に陥ります。
日中の眠気により集中力が低下し仕事や学業に影響を及ぼします。また転倒や転落、運転や機械操作などでは事故や労災の原因となります。

 

睡眠時無呼吸症候群の疫学

成人男性の約3〜7%、女性の約2〜5%に見られます。男性では40〜50歳代が半分以上を占め、女性では閉経後に罹患率は増加します。
現在日本国内の未検査・未治療の睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は約500万人と推定されていますが、実際に治療を受けている人は約50万人にとどまっています。

また睡眠時無呼吸症候群は合併症との密接な関係があります。
すべての高血圧患者3500万人のうち睡眠時無呼吸症候群患者は37%(1295万人)、肥満2100万人のうち睡眠時無呼吸症候群は77%(1617万人)、糖尿病1600万人のうち睡眠時無呼吸症候群は36%(576万人)と大きな割合を占めています。

 

重症度分類

睡眠中に30回以上の無呼吸(10秒以上の呼吸の停止)があり、そのいくつかはノンレム睡眠期(脳も体も眠っている深い眠り)にも出現するものを睡眠時無呼吸症候群と定義します。1時間あたりでは、無呼吸回数が5回以上で睡眠時無呼吸症候群とみなされます。

睡眠時無呼吸症候群の指標にはAHI(Apnea Hypopnea Inde;無呼吸程呼吸指数)を用います。AHIによって重症度を分類し、重症度によって必要な治療の種類も異なるので、正しい重症度の把握が大切です。

 

AHIによって重症度を分類

睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数と呼び、この指数によって重症度を分類します。重症度は3つに分類されます。

軽症

5 ≦ AHI(無呼吸程呼吸指数) <15;

(無呼吸・低換気が)5回から15回以上

中等症

15 ≦ AHI < 30;15回から30回以上

重症

30 ≦ AHI;30回以上

(成人の睡眠時無呼吸症候群 診断と治療のためのガイドライン 2005)

 

低呼吸の概要

低呼吸とは、換気の明らかな低下に加え、動脈血酸素飽和度(SpO2)が3~4%以上低下した状態、もしくは覚醒を伴う状態を言います。

 

SASとは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の略語です。

 

重症度が高まるほど合併症のリスクも高まる

成人の場合、睡眠時無呼吸症候群の人は健康な人に比べ高血圧、心筋梗塞、脳卒中になる危険性が3〜4倍高くなります。特に重症の睡眠時無呼吸症候群の場合、心血管系疾患の発症率は5倍にもなります。しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療により死亡率を健康な人と同等までに下げることが可能です。

 

睡眠時無呼吸症候群の検査方法

問診などで睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まずは検査をする必要があります。検査によって確定診断、重症度の判定が可能です。検査は代表的なものとして簡易ポリグラフと、ポリソムノグラフィー(PSG)があります。

 

①:簡易ポリグラフ

医療機関より機械が貸し出せれ、自宅で行う検査です。痛みを伴うものではありません。
就寝前に指と鼻にセンサーを取り付け、睡眠中の無呼吸の回数と、酸素飽和度の変化を測定します。またいびきや体動、胸の動きもチェックされます。

 

②:ポリソムノグラフィー(PSG)

ポリソムノグラフィーは基本的に1泊2日の入院で行う検査です。簡易ポリグラフで測定される項目の他に、睡眠中の脳波や心電図を調べることができ、非常に精度の高い診断をすることができます。

 

睡眠時無呼吸症候群の重症度を検査するなら

睡眠時無呼吸症候群が少しでも心配される時は、早めに医師に相談し病院やクリニックへの受診が必要です。医師の診察、検査の元なるべく早く治療を開始することが、睡眠の質の改善、合併症の予防に効果的です。

梅本ホームクリニックでは、睡眠時無呼吸症候群に対する治療を受け付けています。また、お電話による無料相談も可能です。睡眠時無呼吸症候群の疑いがある方は、お気軽にご相談ください。

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