統合失調症になった場合の適切な過ごし方は?社会復帰までの道のりも解説
統合失調症は治療が難しいと思われているものの、適切な処置を行えば社会復帰できるまで回復できる精神疾患です。
ただし、社会復帰をするためには病気の早期発見や、診断されてからの適切な過ごし方が重要となります。
本記事では、統合失調症と診断された後の過ごし方や、統合失調症の方が日常を過ごす上で気をつけるべきこと、社会復帰に向けて行うべきことなどについて解説しています。
本記事を参考にして、ぜひ早期での治療に結びつけてください。
統合失調症の疑いが見られたら
不眠や感覚過敏といった統合失調症の初期症状が疑われる場合、まずは精神科を受診することが大切です。
なぜなら統合失調症の治療は、早期発見・早期治療が社会復帰の重要な鍵となるからです。統合失調症の発見が早いほど、治療からの社会復帰が早くなります。
また、精神的な不調が見られる場合は統合失調症のみならず、他の精神疾患の可能性も考えられます。そのため、きちんと診療を受けて、現在の症状の原因を突き止めることが重要です。
統合失調症を発症したまま放置してしまうと、より危険な病状が現れてしまうことも珍しくありません。
統合失調症を放置することによるリスクについては、下記の記事で詳しく解説していますので併せて参考にしてください。
統合失調症と診断された後の過ごし方
統合失調症は早期治療が必要不可欠な病気です。統合失調症と診断された場合は、下記の3点のポイントを押さえて過ごすことが大切です。
- 出席停止・休職の手続きを行う
- 統合失調症であることを家族などの周りの人に伝える
- 統合失調症の治療に専念する
それぞれ順番に解説します。
まずは出席停止・休職の手続きを行いましょう
統合失調症を発症したまま通学をしたり、仕事をし続けたりすることは難しいケースが多いです。
症状が軽いうちは問題なかったとしても、病状が進行するにつれて社会行動が困難になる場合や、薬の副作用によって仕事を継続できなくなる場合があります。
よほどのことがなければ現状を上司などに伝え、休職などの手続きを取るようにしましょう。
統合失調症であることを家族などの周りの人に伝える
統合失調症の治療には医師の適切な処置はもちろんのこと、周りの方のサポートも必要不可欠です。
統合失調症の進行が早い場合、激しい妄想症状に襲われたり、一時的に自分をコントロールできなくなったりするケースも多く見られます。
そのためご家族の誰かと一緒に精神科を受診していただき、医師からご家族に対して症状の説明などを行えることが理想的です。
統合失調症の治療に専念する
統合失調症の治療が始まったら、社会復帰が認められるまでは、治療に専念することを心がけましょう。
社会復帰を遂げるには、じっくりと時間をかけて治療を行なっていく必要があります。治療に専念し、こころと体を十分に休めつつ、適切なリハビリテーションを行うことが、社会復帰のための重要な要件です。
なお、統合失調症の治療を行う際は、様々なアプローチから治療が行われます。
下記の記事では統合失調症の治療で行われることについて具体的に解説しているため、詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
統合失調症を治すためにやるべきこととは?治療法や注意点を解説
統合失調症の方が日常を過ごす上で気をつけるべきこと
統合失調症の方が日常を過ごす上で気をつけるべきこととして、下記の3点を押さえておきましょう。
- 統合失調症は決して珍しくない疾患であることを押さえておく
- 社会復帰を急がない
- 主治医や看護師とできる限りコミュニケーションを取る
それぞれ順番に解説します。
統合失調症であることは決して珍しくないことを押さえておく
統合失調症は特殊な疾患のように思われがちですが、実は100人に1人の割合で発症するとされており、決して珍しい病気ではありません。
統合失調症を発症してしまった方の中には、「どうして自分が発症してしまったんだ」とふさぎこんでしまう方もいらっしゃいます。
ふさぎこんでしまうことによって、過度なストレスがかかってしまい、より症状を悪化させる原因になることも多いです。
発症してしまった自分を責めることなく、前向きに治療に取り組むことこそが早期改善のための近道となります。
社会復帰を急がない
統合失調症を発症すると、いち早く社会復帰をしたいと考え、焦ってしまう気持ちも理解できます。
しかし、社会復帰を急いでしまうと、かえってそれがプレッシャーとなって症状の改善が遅れやすいです。
そもそも、統合失調症の治療は時間がかかるものであり、急いだからといって早期で復帰できるわけではありません。
また、自分で寛解したと判断して社会復帰をしたところ、実はまだ治療が不十分で症状が再発するといったこともあり得るため、自己判断での社会復帰は控えましょう。
医師の指示に従って、適切なタイミングで社会復帰することが大切です。
主治医や看護師とできる限りコミュニケーションを取る
主治医や看護師とは、できる限りコミュニケーションを取るよう心がけましょう。
自身の症状を直接伝えることでより適切な治療を行える上、意義を正しく理解してから治療を進めることで、療養にも前向きに取り組めます。
先述したように可能であればご家族の方も一緒に受診し、コミュニケーションを取ってもらうと良いでしょう。
なお、主治医は固定することが望ましいものの、どうしても相性が合わないと感じた際には変更することも大切です。
主治医が合わないと思った時の適切な対処法については、下記の記事で解説しています。
現在進行形で主治医との相性に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
精神科の主治医が嫌いなときはどうしたらよい?良い先生の見分け方も紹介
統合失調症の患者が社会復帰に向けて行うこと
統合失調症の治療法としては薬物療法などがありますが、社会復帰に向けてリハビリテーションやリワーク施設での復職プログラムを受けることも可能です。
どのような治療を行うのか、それぞれ詳しくご紹介します。
リハビリテーション
統合失調症の患者が社会復帰に向けて行う治療法としては、リハビリテーションが代表的です。
リハビリテーションには、主に下記の3つがあります。
- ソーシャルスキル・トレーニング
- 作業療法
- 認知機能へのアプローチ
それぞれについて、簡潔に解説します。
ソーシャルスキル・トレーニング
リハビリテーションの中でもソーシャルスキル・トレーニングは社会・生活技能の回復を図る目的で行われます。
一般的にソーシャルスキル・トレーニングはグループによるロールプレイ形式で実施されます。
社会参加するためには人との関わりが欠かせません。
しかし、統合失調症を発症すると対人関係に自信を無くしてしまったり、コミュニケーションの機会が限られてしまったりすると、人との関わりを失い、社会復帰が困難になってしまうのです。
そこで、患者とスタッフが職場や買い物の場面などを想定したロールプレイを行い、苦手に感じることを克服していくのです。
作業療法
社会復帰のためのリハビリテーションには、作業療法なども含まれます。
作業療法は薬物療法と比べて、より古い歴史を持つ治療方法です。作業療法士の指導のもとで手芸・園芸・料理・木工・パソコン作業などの軽作業を行います。
簡単な作業を行うことを通じて楽しみや充実感、達成感などを再体験し、日常生活や社会生活技能の回復を目指します。
認知機能へのアプローチ
統合失調症を発症すると認知機能が低下してしまうので、改善のためパソコンの専用ソフトを使って治療を行うこともあります。
また、認知の歪みを修正する認知行動療法が行われることもあり、症状や状況に合わせて様々なアプローチが行われます。
リワーク施設での復職プログラム
病院以外の外部施設にて、社会復帰に特化したプログラムを受けることも可能です。
特にリワークプログラムを提供しているリワーク施設は、主に精神疾患などで休職した方を対象としています。
リワーク施設では復職に必要なビジネススキルやコミュニケーションスキル、生活習慣の改善方法などを提供しています。
リワーク施設は、医療機関が運営するものや地域障害者職業センターが運営するもの、また民間企業が運営しているところなど、実に多様です。
そのため、リワーク施設での復職プログラムを検討している場合は、自身の特性や症状などを踏まえて施設を選びましょう。
統合失調症を発症したら日々の過ごし方を見つめ直しましょう
統合失調症を発症した際には出席停止や休職の手続きを行い、治療に専念することを心がけましょう。
また、統合失調症の治療には周りの方のサポートも重要となるため、病状を伝えてご家族の理解を得ることをおすすめします。
統合失調症は決して珍しい疾患ではありません。
社会復帰を急がずにじっくりと治療を行い、主治医や看護師とコミュニケーションを取りながら寛解に向けて前向きに療養に取り組みましょう。
統合失調症の治療には、社会復帰に向けたリハビリテーションや、リワーク施設での復職プログラムが提供されているので、これらの活用も検討してみてください。
なお、銀座の心療内科の梅本ホームクリニックでは、訪問医療による統合失調症の治療を提供しています。
24時間対応で、深夜の症状に困っているご家族の方にとっても、非常に頼りやすくなっているため、在宅で治療を進めていきたいという場合は、ぜひ一度お電話にてご相談ください。