遠隔診療におけるAIの活用法とは?遠隔診療のメリット・デメリットも解説

遠隔診療におけるAIの活用法とは?遠隔診療のメリット・デメリットも解説

2020年4月より、厚生労働省は遠隔診療の規制を一部緩和し、遠隔診療がより身近なものとなりました。最近では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、感染リスクを抑えられる遠隔診療がより一層重要視されています。本記事では、遠隔診療の概要とメリット・デメリット、AI(人工知能)を用いた遠隔診療について詳しく解説します。遠隔診療を検討されている方は、本記事を参考にした上で、専門医と相談しましょう。

 

遠隔診療とは

遠隔診療とは「オンライン診療」とも呼ばれ、インターネットで医師と患者を繋ぎ、専用のアプリやビデオチャット機能を使って診察を受けるものです。従来は離島や僻地などの、物理的に医師の診察が受けられない方を対象にしてきましたが、近年のITの発達と新型ウイルスなどの感染症により、遠隔診療の需要はますます高まっています。

 

遠隔診療のメリット

オンライン上で行われる遠隔診療は、予約・診察・支払い・薬の処方まですべてオンラインで完結できるのが特徴です。ではメリットとしてどのようなものがあるのか、3つに分けて解説します。

 

患者様の手間や負担の軽減

従来の通院は、診察から支払い、薬の処方と待ち時間が長く、病院に行くだけで1日の時間の大部分を使うことも少なくありません。また予約をしていても、待合室で長い時間待つ必要があり、待合室での感染リスクもあるといったように患者様への負担は相当なものでした。

しかし、遠隔診療ならどこにいてもインターネットがあれば診察を受けられるため、病院への往復の手間や待ち時間を無くせます。ご高齢の方や体調が悪い患者様、また忙しくて通院する時間が取れない方にとっても便利なシステムです。

安全な環境を実現できる

新型ウイルス感染症や風邪、伝染病などは、対面することによる感染リスクが危惧されます。また不特定多数の方が利用する病院は、衛生管理が大きな課題です。

遠隔診療では、人と実際に対面せずにオンライン上で診察が行えるため、他者との接触をなくし感染リスクを抑えられます。定期的に通院が必要な免疫不全の方や、高齢者など、身体の弱い人も安心して診察を受けられます。

治療を継続しやすい

従来の診療方法では、継続的な通院が難しかった方も多く見られました。しかし、遠隔診療はその手軽さと時間制約の少なさから、継続した診察を受けられるきっかけになります。継続診療は異常の早期発見、病気の悪化を防ぐためにも重要です。医療サイドとしても、症状のコントロールが容易となり、疾患の悪化予防だけでなく、治療の効果を追跡できるメリットがあります。

 

遠隔診療のデメリット

遠隔診療のメリットとして、通院の手間が省け時間を節約できること、感染症のリスクを減らせること、治療を継続しやすいことを説明しました。大きなメリットがある遠隔診療ですが、デメリットには一体どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な遠隔診療における2つのデメリットについて解説します。

 

処置や検査はできない

オンライン上では血液検査やレントゲン検査など、疾患を診断するのに必要な検査を受けられません。遠隔診療では問診に沿って自覚症状を確認するため、情報量の少なさから、正確な診断ができない場合があります。また外傷などの処置が必要な場合にも適しておらず、遠隔診療を受けられる疾患はある程度限られているのが現状です。

緊急性の高い症状に対応ができない

すぐに処置が必要な場合や、腹痛や発熱など現在ある症状に対して治療を受けたい場合には対応できません。処方された薬は基本的に郵送のため、手元に届くまで時間がかかります。遠隔診療は、高血圧や高脂血症など、生活習慣病の定期的なフォローや、低用量ピルの処方、AGA、禁煙外来などの分野の診察に適しています。

 

遠隔診療におけるAIの活用例

現在、医療分野におけるAI活用はさまざまな企業で研究開発が行われています。特に遠隔診療では、オンライン診断や継続したモニタリング、効率的なデータ収集にAIが活躍しています。実際にすでにAIを医療現場で活用している例について、解説します。

 

AIによるオンライン診断

2021年にアメリカのIT企業が、AIを活用した皮膚病変診断のアプリケーションの開発をしたことで話題になりました。これは、患者が自らスマートフォンで皮膚患部の撮影をし、アプリ内の質問に回答していくと、AIがデータベースを元に診断するという画期的なサービスです。

また、インドでは遠隔医療のAI化が急速に浸透しています。医師不足、農村部の医療アクセスの悪さを解消するため、DocsApp社はアプリを使ったオンライン診療を導入しています。アプリに基本情報や症状などを入力すると、AIが入力内容にあった医師を紹介し、30分以内に医師とつながり診察してもらる仕組みのアプリです。最近では新型コロナウイルスの拡大により、需要はますます高まっています。

デバイスを通じたモニタリング

糖尿病や高血圧などの診療には、毎日の数値の変化をモニタリングすることが欠かせません。インドのIT企業Health Arx Technologies社では、糖尿病患者の遠隔診療に特化したアプリを実用化させており、スマートフォンを使って血糖値を測定・記録します。血糖値が基準を超えるとアラートが作動し、必要時には医師に繋がります。

 

患者様のデータ収集

AIを用いたデータ収集では、専用の機械を使って血圧や体温、脈拍などの変化を継続的に観察できます。集められたデータはAIによる分析を経て、医師の診察材料となります。継続的なデータ収集は、病気の悪化予防や急変の事前予測につながり、これからの時代の新たな健康管理ツールとして、さらなる発展を遂げるでしょう。

 

まとめ

遠隔診療とは「オンライン診療」とも呼ばれ、インターネット環境があればどこでも受けられます。移動の手間が省け、安全な環境を実現できることから、新型ウイルス感染症によって人との対面が避けられる中、遠隔診療はこれからますます拡大していくでしょう。また医療分野でのAI活用により、遠隔診療のさらなる可能性が期待されています。

2020年4月の厚生労働省の改定により、今までは認められなかった初診時の診察や、特定の疾患への薬の定期処方も、遠隔診療でできるようになりました。遠隔診療に興味のある方は、病院のホームページなどで遠隔診療が受けられるのか確認したり、かかりつけ医などに相談してみてはいかがでしょうか。

また、梅本ホームクリニックでは、患者様それぞれの状況に合わせた最先端の在宅医療を提供しております。無料の電話相談を受け付けておりますので「最先端の医療を受けたい」、「柔軟に対応してくれる医療を受けたい」と思った方は、お気軽にご相談ください。

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