思春期に気をつけたい不安障害とは?代表的な症状や治療法【チェックリスト付き】
心身の成長が急速に起こる思春期は、心が不安定になりやすい時期です。
少し落ち込んだり怒りっぽくなったりする程度であればそこまで心配は不要ですが、一度心のバランスを崩してしまうと、不安障害を発症してしまうおそれがあります。
この記事では、思春期に気をつけたい不安障害について紹介します。
中学生や高校生のお子様をお持ちの方は、思春期に起こりやすい心身症のリスクや症状を押さえておくことが大切です。
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思春期に精神的な病気になることは珍しくない
精神的な病気と聞くと、「自分の子には縁がない」「そんなに大げさな症状ではない」と思われる方が多いでしょう。
しかし、精神的な病気は意外に身近なもので、思春期に罹患してしまうことは珍しくありません。
思春期(青年期)は身体的な成長だけではなく、心身的な成長がすすむ時期です。
とくに、心の面ではアイデンティティの確立がすすみ、その過程でさまざまな葛藤や悩みを抱きやすくなります。
急激な心身の成長に精神面がついていけないと、結果として不安障害などのリスクが高まってしまいます。
このように、思春期は精神病のリスクが高い時期です。少しでも気になる症状がある場合は、早めに病院を受診したり周囲の方がケアをしてあげたりすることが大切です。
なお、中学生が気をつけたい精神障害についても紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
思春期は不安障害になりやすい
思春期は、アイデンティティを形成する過程で「不安障害」にかかりやすくなります。
不安障害とは、私たちに当たり前のように備わっている恐怖や不安といった警戒機能が過剰に反応し、日常生活に支障が出てしまう精神疾患です。
一口に不安障害といっても、さまざまな症状があります。とくに思春期は、この章で紹介する3つの不安障害に注意が必要です。
パニック障害
パニック障害は、突然激しい不安に襲われて、動悸やめまいなどを引き起こす精神疾患です。
「このまま死んでしまうのではないか」という不安を覚えることも珍しくありません。このような心身の異常な反応を「パニック発作」と呼び、日常的に繰り返されるとパニック障害と診断されます。
パニック障害の代表的な症状は、以下のとおりです。
- 動悸や心拍数の上昇
- 発汗
- 息切れ・息苦しさ
- 窒息感
- 体のしびれ・震え
- 吐き気
- めまい・ふらつき
- 気が遠くなる感じ
- 死ぬことへの強い恐怖感
- 冷たい、または熱い感覚
思春期の中学生や高校生は、勉強や学校生活などで受ける過度な緊張、ストレスでパニック障害に罹患しやすくなります。
人によって症状はさまざまで、「また発作が起きたらどうしよう」という恐怖(予期不安)を抱きやすい点が特徴的です。
予期不安の影響で、登校や試験などを避けるようになり、日常生活に制限を受けることも多々あります。
強迫性障害
強迫性障害とは、簡単にいうと「同じことを何度も行ってしまい、やめられない」障害です。
たとえば、「何度戸締まりを確認しても不安」「洗っても洗っても手が汚いと感じてしまう」「頭に浮かんだ数字を数え続けてやめられない」といった症状が代表的な例として挙げられます。
思春期の強迫性障害の背景には、自分が臭うのではないかと不安になる「自己臭症」や文字を書くときに手が震える「書痙」、汗をかくことが気になる「発汗恐怖」などがある可能性が高いです。
強迫性障害も日常生活に支障をきたす可能性があるため、気になる症状がある場合は早めの治療が必要です。
社会不安障害
社会不安障害は、人前で話すことや注目を集めることが恥ずかしくなったり怖くなったりする精神疾患です。
人がたくさんいる場所に強い苦痛を覚え、パニック発作を引き起こしてしまうこともあります。
学校などで恥ずかしい思いをしたことで発症する方もいますが、自己肯定感の低さや自信喪失などから発症するケースも少なくありません。
不安や恐怖が過剰な反応だとわかっていても気持ちが抑えられなくなるため、次第に外出や人と会うことを避けるようになっていきます。
思春期でよく見られる不安障害以外の精神疾患
思春期の中学生・高校生によく見られる精神疾患は、決して不安障害だけではありません。
ここでは、不安障害以外にも気をつけたい精神疾患について紹介します。
摂食障害・拒食症
摂食障害とは、文字通り「食事に関する障害」のことで、なかでも代表的な症状として拒食症が挙げられます。
拒食症は、精神的な原因によって食行動を起こせなくなる病気です。
とくに若い女性に多く、「太っていると言われたことがショックで食べたくない」「痩せている方が美しい」といった経験や思い込みが原因で引き起こされます。
食事が摂れなくなるだけではなく、食べたものを吐いたり下剤を乱用したりすることもあります。
摂食障害は社会レベルや文化レベルとも関係が深く、先進国に多い病気です。後述する過食症と深い関係があり、拒食症から過食症へ発展するケースも多々あります。
過食症
過食症とは、一気に大量の食べ物を摂取したあとに吐いたり下剤を乱用したりする疾患です。過去に拒食症を経験した方に多く見られます。
過食症の方は、抑うつやイライラ、社会不安障害などを併発している傾向にあります。過食やおう吐をやめられない自分に嫌悪感を抱き、人付き合いを避けたり孤立したりすることも少なくありません。
思春期妄想症
思春期妄想症とは、「自身の身体の異常によって、周りの人に不快感を与えているのでは」と考えてしまう精神疾患です。
たとえば、以下のような症状が思春期妄想症に該当します。
- 自己視線恐怖:自分の視線が人に不快感を与えているのではと不安になる
- 醜形恐怖:他人に見にくいと思われているのではと不安になる
- 自己臭恐怖:自分が臭っていて人に迷惑をかけているのではと不安になる
このような症状は、対人関係で人の意見に過敏に反応しやすい思春期に多く見られる傾向にあります。
放っておくと社会不安障害や強迫性障害を併発する可能性があるため、早期の治療が欠かせません。
ほかにも、思春期に起こりやすい心身症は多数存在しています。こちらの記事も合わせてご覧ください。
不安障害かどうかを確認するチェックリスト
以下のチェックリストのうち、3個以上当てはまる場合は不安障害の可能性があります。
- 過度に心配していて、理由がないのに不安を抱えている
- 小さいことが気になり、必要以上に考えている
- ネガティブ思考になりがちで、人に会うことを敬遠している
- 人前に出ることや外出を避けている
- 寝つきが悪く、夜中に何度も起きる
- 毎日不安な気持ちを抱いていて、リラックスできない
- 集中力が落ちた
- イライラ感やソワソワ感がある
- 記憶力が低下している
- 人混みを苦手としている
「自分の子どもが不安障害かもしれない」と思っても、なかなか確信が得られず、判断に迷ってしまう親御様は多いでしょう。
そのようなときは、こういった不安障害の可能性があるかどうかを確認するチェックリストの活用がおすすめです。
不安障害の治療法について
不安障害は日常に支障をきたす疾患であるため、少しでも心あたりがある場合は早期治療を行うことが肝心です。
不安や恐怖をすべて取り除いて不安障害を完治させることは難しいですが、治療をすれば少しずつ症状を緩和できます。
ここでは、不安障害の治療法について2つ紹介します。不安障害は、それぞれをうまく組み合わせながら治療をすすめることが一般的です。
薬物療法
薬物療法では、服薬によって不安感や恐怖感の緩和を目指します。使用されるのは、おもに以下のような薬です。
- 抗うつ剤:安心感を神経に伝える「セロトニン」の濃度を高め、不安を抑える薬
- 抗不安薬:不安や恐怖、緊張を抑える薬
- 睡眠薬:睡眠を誘発して持続させる薬
なかには抗うつ剤の使用に抵抗感を覚える方もいるかもしれませんが、近年は効き目が緩やかで副作用が少ない薬も多いです。
過度に不安に思わず、医師と相談しながら安心して服用できる薬を見つけていきましょう。
精神療法
精神療法では、医師や臨床心理士のカウンセリングを受けながら、不安障害の原因となっている考え方の傾向を改善します。
精神療法では、おもに2つの種類の治療を行います。
- 認知行動療法:不安や恐怖を引き起こす極端な考え方(認知)を事実に沿った客観的なものに変え、不安に対処できる新しい行動パターンを定着させる
- 森田療法:不安や恐怖を「より良く生きたい」という気持ちの裏返しであると捉え、ありのままの自分を認めることを学ぶ
人によって不安を感じる状況や感じ方はさまざまなので、一人ひとりに合った治療を行うことが肝心です。
医師や看護師によく相談し、焦らずゆっくりと治療をすすめましょう。
親御様が不安障害のお子様と接する際の注意点
親御様が不安障害を抱えているお子様と接するときは、以下の注意点を意識しましょう。
- コミュニケーションを密にとって、理解しようとする
- 焦らずじっくりと向き合って治療を行うようにする
- 細やかな変化に気づいてあげられるように見守る
まず、不安障害が本人にとって辛いことであることを理解し、コミュニケーションを通して気持ちを聞いてあげることが肝心です。
「考えすぎだよ」「仕方ないよ」と一方的なアドバイスは行わず、しっかりと話を聞いて共感してあげましょう。
また、不安障害の治療には長い時間を要します。
ご家族が焦っていると本人にとって大きな負担となってしまうので、やさしく見守りながら、焦らずじっくり病気と向き合うことが大切です。
思春期のお子様が不安障害かなと思ったら、心療内科を受診しましょう
心身が著しく成長する思春期は心が不安定になりやすく、不安障害をはじめとしたさまざまな精神疾患のリスクが高い時期です。
放置すると登校できなくなったり活動意欲が大きく低下したりと、日常生活や将来に影響をきたしてしまうおそれがあるため注意が必要です。
不安障害は薬物療法と精神療法を組み合わせて治療していくことになりますが、治療を始めたからといってすぐに治るものではありません。
ご家族の焦りは本人にとって負担となってしまうため、辛さを理解してあげつつ、焦らずじっくりと治療をすすめることが重要です。
思春期における不安障害の治療にあたり、心療内科や精神科にかかることを不安に思う親御様もいることでしょう。
そんなときは、在宅医療にも対応している梅本ホームクリニックまでお気軽にご相談ください。
不安障害のお子様に配慮し、ストレスや不安を最小限に抑えながら安心して治療できるようにサポートいたします。
ご家族の不安障害にお悩みの方は、お気軽にLINEや電話の無料相談をご利用ください。
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