精神科はなぜ予約が取れない?精神科を受診する際の注意点についても解説
精神科を受診しようとしてもなかなか予約が取れず、困った経験がある方は多いのではないでしょうか。その度に、精神科の予約が取れないことに対するストレスを感じている方もいることでしょう。
また、これから精神科を受診しようと考えているものの、初診の予約が取れずに不安を感じている方もいらっしゃいます。
本記事では精神科の予約が取りにくい理由や、精神科を受診する際の注意点などを解説しています。
現在メンタルの調子が悪く精神科を受診しようと考えている方は、ぜひ本記事を最後までお読みください。
精神科はなぜ予約が取れないのか
精神科では受診しようとしても、1ヶ月以上待たないと予約が入れられないというクリニックも少なくありません。
このように精神科の予約が取りにくい要因としては、下記の2点が挙げられます。
- 需給のバランスが崩れている
- メンタルクリニックの受診抑制
それぞれ順番に解説します。
需給のバランスが崩れている
現在、精神科やメンタルクリニックの需要は年々増加傾向にあります。
しかし病院の軒数や医師数は少なく、需要に対して供給が十分であるとはいえません。結果として予約が取りにくくなっており、治療が難しくなっていることが懸念されており、実際に需要に対して供給が足りていません。
具体的な数字について考慮すると、精神科の専門医は全医師のうち3%しか存在していません。その一方で、精神疾患は健康損失の2割以上の要因となっており、需給のバランスが大きく崩れてしまうのです。
また、日本は先進国の中でも人口1000人当たりの医師数が2.4人とされており、非常に少ないです。これはOECD加盟国37ヶ国中33番目の数値であり、先進国の中でも危機的な状況であると言えるでしょう。
精神科の医師を増やす取り組みは行われているものの、この取り組みは長期的な施策として考えられ、短期的に改善することはないと考えられます。
メンタルクリニックの受診抑制
基本的にメンタルクリニックは1人の医師が常駐し、運営されています。しかし医師1人だけで医療の質を担保し、適切な診療を行える人数は限られています。
現実的には多くても1日平均で38名の診察が質を担保しつつ行える上限とされており、実際に精神科の診療時間を考慮すると、1人当たり12分しか診察に費やせません。
また年間診察数にも制限があり、受診数を抑制せざるを得ないという事情もあります。
診療所には税制特例と呼ばれる、社会保険診療報酬が年間5,000万円以下の場合、概算での経費計上が認められる制度が施行されています。社会保険診療報酬が年間5,000万円を声ないためにも、年間の総診察数を約9000回以下に抑えようとしてしまうのです。
また、初診患者には再診患者数名分の診療時間が必要になるため、すでに十分な患者様を抱えているメンタルクリニックでは、初診患者を診療する余裕がほとんどありません。
つまり通院治療する患者が数名減ることで、初めて初診患者を1名引き受けられる余裕が生まれるということであり、初診患者の受け入れが困難とされているのです。
精神科を受診する際の注意点
精神科を受診する際に、注意しておきたいポイントは下記の2点です。
- 早めに予約・受診する
- 事前に必要な情報をまとめておく
それぞれ順番に解説します。
早めに予約・受診する
メンタルの調子には、どうしても好不調の波が発生します。
調子が悪く精神科の受診を検討しているうちに好調へと転じて「やっぱり受診しなくても大丈夫だろう」と判断してしまうこともあるでしょう。
しかし、そのような現象が起きたとしても、たまたまメンタルの調子が上向きになっただけであり、精神的な治療が果たせたわけではありません。そこで受診することを辞めるのではなく、いずれしんどくなってしまった時のためにも早めの受診を行うことをおすすめします。
事前に必要な情報をまとめておく
先述した通り、現在精神科では需給のバランスが崩れている上に、受診制限を設けていることから、メンタルクリニックの予約の確保は難しい傾向にあります。
何度も頻繁に通えないケースもあるため、一度の診察で効率良く症状を伝えるとともに、適切なアプローチを行ってもらう必要があるでしょう。
そのためにも、短い時間でなるべく適切に、ご自身が置かれている状況を医師に伝えなければなりません。
短時間で、適切に受診するためには、精神科でよく聞かれることに対する回答をあらかじめまとめておくことが大切です。
精神科の初診時に聞かれることが多い内容は下記の通りです。
- 現在、何に困っているのか?
- どのような症状が出ているのか?
- 症状が出始めたのはいつ頃からか?
- 受診に至った経緯
- 具体的にどのような時に、どのような症状が出るのか?
- 症状が出る原因として、思い当たることはあるか?
精神科の受診時には、どうしても緊張してしまうという患者さんも少なくありません。
事前に回答を用意しておくことで、心にゆとりを持った状態で医師と会話できるため、医師からの質問に対しても素直に答えられるケースが多いです。
話すことに難しさを感じる場合は、ノートなどに必要情報を書いてまとめておけば、医師にそのノートを読んでもらうことで状況を確認してもらうことも可能です。
そして、可能であればご家族にも同席してもらいましょう。精神疾患の治療には、ご家族の協力や家庭での正しいケアが必要不可欠です。
精神科での治療の際、ご家族にも同席してもらえれば、家族全体で適切なケアを行えるようになります。その上でご家族と病院側との間で、しっかりと良好な関係性を構築しておくことも大切です。
精神科を受診する前に在宅医療がおすすめ
精神科を受診する必要のある方の中には、すでに通院そのものが大きな負担になっている可能性も高いです。精神疾患の中には、外出が困難になる症状を発症してしまうものもあります。
しかし、精神疾患は放っておけば自然治癒するわけではないため、治療を行う上ではどうしても通院を行う必要があるのです。さらに予約が取りにくいことを考慮すると、精神疾患を治療することがより難しく感じられるのではないでしょうか。
通院が難しいと考えられる場合は、在宅医療がおすすめです。在宅医療であれば、医師が自宅まで訪問してくれるため通院不要であり、予約からの診療もスムーズに行えます。
そのため、結果として早期治療に繋げることが可能です。
在宅医療であれば、自宅に居ながらにして最適な診療が受けられます。そして患者さんのご家族にとっても診療に立ち会いやすく、精神疾患に対して適切な態度で接することが可能であることからも、非常におすすめです。
なお、在宅医療については下記の記事で詳しく解説しているため、こちらも併せて参考にしてください。
早めの精神科の受診を心掛けましょう
本記事では、精神科の予約が取りにくい理由と、1回の受診で適切な診察・治療を行ってもらうために注意するべきことを解説しました。
精神疾患には症状の波がある上に、精神科の予約が取りにくいことを考えると、つい精神科の受診を後回しにしがちです。しかし、精神疾患は早期治療が非常に大切であることから、できる限り早く受診することが望ましいです。
もし通常の精神科の予約を取ることが難しい場合は、在宅で治療を受けられる在宅医療を検討することをおすすめします。
なお、在宅医療を検討している場合は、東京都中央区銀座にある梅本ホームクリニックをご検討ください。
梅本ホームクリニックでは精神疾患はもちろんのこと、その他のさまざまな疾患の治療も行っていることから、包括的な患者様の治療が可能です。
自立支援医療制度にも対応しており、精神疾患の方の金銭的な負担も軽減するためのご支援を行うことも可能です。
お電話での無料相談も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。