訪問診療にかかる費用とは?対応可能な範囲や条件もあわせて解説

訪問診療にかかる費用とは?対応可能な範囲や条件もあわせて解説

病気や障害を抱えていても、住み慣れた自宅で自分らしく生活したいという方が増えています。また、自宅からの定期的な通院も、時間や体力的な問題、昨今の感染症予防の観点などから、少し難しいというケースも少なくありません。

このような状況を考慮し、在宅医療や在宅介護の制度が急速に整っています。その中でも今回は、訪問診療の治療内容や費用などについて解説していきます。

 

訪問診療で受けられる処置や治療

訪問診療とは、文字通り、医師が患者(利用者)の自宅や居宅施設を訪問して診察してくれるというものです。主な診療内容は、血圧や脈拍などのバイタルサインや疎通性・活動性の確認などの全身状態の診察が中心です。必要に応じて薬の処方や点滴、経管栄養、中心静脈栄養、酸素療法、人工呼吸器の管理等の医療措置が行われます。

その他の処置として代表的なものは、褥瘡(床ずれ)などの皮膚トラブルの観察やケア、認知症の方へのケアなどです。

 

また、医師の診察を受けた上で「入院治療が必要な状態」と判断されたケースは、ご家族と相談の上、ケアマネージャーやかかりつけ医、受け入れ可能な医療機関と連絡を取り、入院の調整も行います。

 

訪問診療にかかる料金の内訳

では、訪問診療にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。訪問診療にかかる料金は、利用者それぞれが受けるサービスや医療保険によって様々です。基本的には「基本診療費」と「追加加算される診療費」、そして「医療費負担割合」をもとに決められます。このうち「基本診療費」と「追加加算される診療費」は、厚生労働省の定める診療報酬により決まっており、様々な条件で変動します。

項目ごとにみていきましょう。

基本診療費

基本医療費とは、基本的な訪問診療の利用そのものにかかる費用です。こちらも厳密には、「医学総合管理料」と「訪問診療料」からなり、自宅に来てもらう場合と入所中の施設に来てもらう場合とでも料金が異なってきます。

医療保険において、1ヶ月に2回、訪問診療で院外処方箋を交付する場合、診療報酬としては約70,000(点)となり、1割負担の方だと約7,000円、3割負担の方だと約20,000円の自己負担となります。

詳しくは、下記の日本訪問機構のページをご覧ください。

日本訪問機構|患者様・ご家族様向け情報

追加加算される診療費

基本診療費に加えて、必要に応じて採血検査や心電図検査などを実施した場合は、実施した分だけ別途費用がかかります。新型コロナウイルス感染症予防のために、在宅でワクチンを打った場合の費用などもこちらに含まれます。

また、在宅酸素等の医療機器を使用する場合や、抗がん剤などの治療を行う場合の費用、診断書を作成してもらう際の料金も「追加加算される診療費」です。

医療費負担割合

訪問診療にかかる料金については前述の通りですが、実際に負担する金額は患者さんによって異なります。

日本の国民であれば基本的に全員が何らかの公的医療保険に加入しているため、医療費の負担割合は原則3割と設定されています。また、乳幼児や70歳以上の方であれば、公的医療保険制度における自己負担割合は1~2割です。

ただし、70歳以上であっても、一定以上の収入のある人は「現役並み所得者」と呼ばれ、公的医療保険制度における自己負担割合の軽減措置が適用されず、3割負担のままとなります。医療費負担割合は、年齢と収入によって異なるため、下記ページにて事前に確認しておくと良いでしょう。

詳しくは、下記の参考資料をご覧ください。

厚生労働省|医療費の一部負担について

 

負担額別の医療費上限一覧

医療費が増え続けるのに伴って、負担額も一定の割合で増えていくのでしょうか。実は、医療費には上限が設けられています。1ヶ月(月初から月末まで)の医療費が規定の自己負担限度額を超えた場合、超過した分が戻ってくる「高額療養費制度」という制度があり、年齢や所得に応じて、支払う医療費の上限が決められています。

たとえば、70歳未満の方については、限度額は以下の通りです。

 

所得区分

1ヶ月の自己負担限度額

区分ア(標準報酬月額83万円以上)

252,600円+(総医療費−842,000円)×1%

区分イ(標準報酬月額53〜79万円)

167,400円+(総医療費−558,000円)×1%

区分ウ(標準報酬月額28〜50万円)

80,100円+(総医療費−267,000円)×1%

区分エ(標準報酬月額26万円以下)

57,600円

区分オ(低所得者・住民税非課税者など)

35400円

 

費用が原因で、訪問診療の利用を足踏みしている方は、高額療養費制度に該当するかを一度確認してみてはいかがでしょうか。

訪問診療を受けられる方の条件

訪問診療の対象とされているのは、原則的に 「居宅(施設)で療養を行っており、疾病、傷病のために通院による療養が困難な方」です。しかし、具体的に何をもって「通院が困難」とみなされるかの明確な規定や例示はなく、主治医の判断によるところが大きいのが現状です。

また、自宅ではなく小規模多機能型居宅介護施設などの施設にいる場合でも、一定の条件を満たせば訪問診療が受けられます。

 

もうひとつ注意が必要なのは、「訪問診療」と「往診」は違うということです。「訪問診療」は「定期的な診療」をさすものですので、突発的に「様子がおかしいから診に来て欲しい(=往診してほしい)」といった場合は訪問診療に該当せず、対応できないので注意しましょう。

まとめ

訪問診療について、受けられる処置や治療、それに伴う費用などについて解説しました。住み慣れた場所で医療が受けられるというのは、本人にとっても家族にとっても非常に安心できる制度です。導入を検討している方は、ぜひ一度、かかりつけ医やケアマネージャーに相談してみるのをお勧めします。

また、梅本ホームクリニックでは、最先端技術を用いた訪問診療を提供しております。無料の電話相談を受け付けておりますので「訪問診療を利用してみたい」と思った方は、お気軽にご相談ください。

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