膝関節のPRP療法における失敗とは?失敗の例や原因を解説
PRP療法とは、患者さんから抽出した血液を利用して行なう「再生医療」の一種です。膝の痛みに悩まされている方のなかには、PRP療法に興味を抱きながらも「失敗するのではないか」「本当に効果があるのか」と不安を感じている方も多いかもしれません。
この記事では、治療を検討している方に向けてPRP療法の失敗例や考えられる原因、治療の特徴について解説します。納得したうえで安心して治療を受けられるように、PRP療法の正しい知識を身につけておきましょう。
PRP療法とは
PRP療法とは、私たち人間が持っている自然治癒力を利用した「再生医療」の一種です。PRP療法では患者さん自身の血液を採取し、そこから多血小板血漿(PRP)を抽出して治療を希望する部位に注入します。
PRPは、文字通り血小板が豊富に含まれた成分です。この血小板からは傷んだ組織の修復を促す「成長因子」という成分が供給されるため、PRPを注射した部位は組織の自己治癒力がサポートされ、早期治療や痛みの軽減が目指せます。
患者さんご自身の血液を使うため安全性が高く、プロスポーツ選手にも活用されている治療法です。ただし、現在は自由診療扱いとなっているため、治療費が高くなるという注意点があります。
PRP療法における失敗
PRP療法はリスクの低さと有用性が認められている治療法ですが、100%治療が成功するわけではありません。ほかの治療法と同様、施術の効果には個人差があり、一定のリスクが生じる可能性があることについては理解しておく必要があります。
それでは、PRP療法で考えられる失敗やリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。注意したいポイントについて3つ解説します。
効果が出なかった
PRP療法は患者さん自身の血小板を利用して行なう再生医療であるため、治療の効果は個人の血小板の質に左右されます。すべての人が同程度の効果を実感できるわけではなく、なかには効果が出ない人がいるということを踏まえて治療を受けることが肝心です。
術後に感染症が発症した
非常に稀ですが、PRP療法のあとに感染症を発症するという失敗例も考えられます。治療後に赤みや腫れ、発熱などが気になる場合は、早急に医療機関を受診しましょう。
ただし、PRP療法を行う医療機関は厚生労働省への届け出が義務づけられており、一定基準以上の安全性の確保が行われています。そのため信頼できる病院選びをすれば、安全性や感染症リスクについては過度に心配する必要はありません。
治療箇所のしこりが取れなかった
PRP療法の効果が出すぎてしまった場合、PRPの成分がしこりとなって施術箇所に残ってしまうおそれがあります。ただし、治療によって発生したしこりは、通常数か月経てば自然に消滅していきます。
この場合、痛みの軽減や治療自体が失敗したわけではありませんが、しこりが残ってしまうと患者さんの精神的負担となるため注意が必要です。施術の際は、PRPの濃度や注入量をしっかりと調整してもらいましょう。
PRP療法の3個の特徴
ここでは、PRP療法ならではの特徴について見ていきましょう。ほかの治療法にはないメリットが豊富なので、ぜひPRP療法の特徴を踏まえて治療を検討してみてください。
手術なしに変形性膝関節症の改善が期待できる
PRP療法は、外来診療を行って血液を採取し、注射を行うだけで完了する治療法です。そのため、入院や大きな手術をすることなく治療ができます。
変形性膝関節症の症状が進行すると、皮ふを切除して関節鏡を挿入する「関節鏡視下手術」や、人工関節を設置する「人工膝関節置換術」などの手術をする必要が出てきます。こういった手術は入院や術後のリハビリが必要になりますが、PRP療法であれば日帰りで治療できてリハビリも不要です。
手術なしで治療できるため、体への負担を抑えて変形性膝関節症の治療が行えます。
アレルギーのリスクが少ない
手術や薬物療法には、少なからずアレルギーのリスクがあります。そのため、高齢で体力が少ない方や内臓疾患がある方の場合、治療によって健康に問題が生じてしまう恐れがあるのです。
対してPRP療法ではご自身の血液を利用するため、アレルギーや副作用のリスクを抑えられます。どのような患者さんでも、低リスクで治療を受けやすい点が特徴です。
日常生活における制限が少ない
PRP療法は、入院やリハビリが必要な手術による変形性膝関節症と比べ、体への負担を大幅に抑えられます。施術の痛みはほとんどありませんし、注射後はすぐに徒歩で帰宅していただくことが可能です。
術後の日常生活における制限が少ないため、サッカー選手やメジャーリーガーにも選ばれています。治療後はすぐに日常生活に戻ることが可能で、仕事やスポーツなどにもほとんど影響は出ません。
PRP療法が失敗したと考えられるときの要因
PRP療法には3つの失敗リスクがあると紹介しましたが、どのような場合に治療が失敗してしまう可能性があるのでしょうか。最後に、PRP療法が失敗したと考えられるときの要因について紹介します。
個人差によるもの
PRP療法は個人差が出やすい治療法であるため、同じ治療をしたとしても効果の感じ方が異なる場合があります。とくにこの治療法は、血小板の質に治療効果が左右されやすい傾向にあります。
たとえば、転んで同じような怪我を負った人がいたとしても、傷が治るスピードは同じではありません。血小板が少ない人は血が止まりにくく傷も治りにくいですが、血小板が多い人はすぐに傷がふさがり治癒していきます。
血小板の質によって傷の治りが早い人と遅い人がいるように、血小板の質でPRP療法の効果にも個人差が出てくるのです。また、効果の持続期間にも個人差があるため注意しましょう。
変形性膝関節症の進行具合
PRP療法は進行期の変形性膝関節症にも効果を発揮する治療法ですが、あまりにも進行度が重度の場合は、効果が出にくくなることがあります。
血小板自体は、軟骨や半月板になることができない細胞です。そのため、完全に軟骨がなくなった場合や骨が削れて変形した場合は、PRP療法では対処できません。主治医としっかり相談したうえで、適切な治療法を見極めることが大切です。
血液の汚染
PRP療法による感染症は、血液から血小板を抽出する過程で細菌に汚染されてしまったことが原因として考えられます。
医療行為をする以上、感染症を完全に防ぐことは難しいものです。しかし、感染症のリスクは医療機関の管理体制によって大きく左右されるため、信頼できる病院に治療を依頼することが肝心です。
まとめ
患者さんの血液に含まれる血小板を利用して治療をするPRP療法。従来の治療法では体への負担が大きかった変形性膝関節症にも活用されている治療法で、体への負担やリスクを抑えて痛みや症状の軽減が目指せます。
ただし、PRP療法が医療行為である以上、どうしても失敗やリスクはつきものです。メリットだけではなくデメリットやリスクも理解したうえで、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
膝関節におけるPRP-FD療法の効果や流れを分かりやすく解説します
また、梅本ホームクリニックでは、電話による無料相談を受け付けています。「変形性膝関節症に悩まされている」「手術は難しいが、最先端医療で症状を緩和させたい」このような方は、お気軽にご相談ください。