精神疾患

中学生が精神安定剤を飲むのは危険?薬に頼らないための方法も紹介

中学生が精神安定剤を飲むのは危険?薬に頼らないための方法も紹介

お子様が精神的に不安定な状態に陥ってしまった場合、精神安定剤を服用すれば治るのではと考える親御様も多いかと思います。

しかし、精神的な疾患は、薬を飲むだけでは根本的な解決に繋がらず、むしろ薬によって異なるリスクを抱えてしまう恐れがあります。

本記事では精神安定剤の効果や中学生が精神安定剤を飲むことの是非についてや、中学生が精神安定剤を飲むことによる悪影響、精神安定剤に頼らないためにやるべきことについて解説しています。

お子様に精神安定剤を飲ませる前に、一度この記事を最後までご覧ください。

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精神安定剤の効果

精神安定剤は薬の作用を持って不安感や緊張感を抑え、リラックス状態を作り出すことを目的に使用されます。

不安緊張がメインの症状となる病気や、不眠症などの症状に対して処方されることが多いです。リラックス状態を作り出せるものの、後述する副作用が起こる危険性も高いことから、処方は非常に慎重に行われます。

大きくベンゾジアゼピン受容体作動薬とセロトニン作動薬に分けられ、特にベンゾジアゼピン受容体作動薬には多くの種類があります。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、効果が強いことから人気があるものの、副作用が強く発現しやすいことが難点です。

ベンゾジアゼピン系の薬については、下記の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。

ベンゾジアゼピン系の薬は認知症リスクを高める?副作用や対策も解説

中学生は精神安定剤を飲んでも良い?

結論から申し上げると、中学生が精神安定剤を服用することは推奨できません。

医師が必要と判断した場合のみ、必要最低限を服用するようにしましょう。その後の依存等を防ぐためにも、できるだけ早く薬から離脱することが大切です。

中学生が精神安定剤を飲むことによる悪影響

中学生が精神安定剤を飲むことによる悪影響として、下記の3点が挙げられます。

  • 薬が効きすぎてしまう
  • 精神安定剤自体に強い依存性がある
  • 薬物依存に陥ると治療が困難

それぞれ順番に解説します。

効きすぎてしまう

中学生が精神安定剤を飲むと、作用が強く出過ぎてしまうことがあります。

解熱剤などでも、子供が服用すると体温が下がりすぎてしまう恐れがあるように、精神安定剤も鎮静作用が過度に効きすぎるケースがあるのです。

そのため、鎮静作用が強すぎる精神安定剤を服用する場合、鎮静作用が効きすぎてしまい、うつ状態にまで落ち込んでしまうことも考えられます。

その他にも、作用が強すぎることによる弊害が十分考えられるため、中学生が精神安定剤を飲むことによる悪影響は大いに考えられるのです。

強い依存性がある

中学生が精神安定剤を継続的に服用していると、薬に依存してしまうケースも多いです。

治療のために薬を飲んでいたはずだったのに、結局大人になっても飲み続けなければならないというケースも珍しくありません。

また精神安定剤の中には、副作用として依存症状が出るものもあります。

そして肉体的というより、薬を飲まないと落ち着かないといった、精神的な依存が多く見られるのも特徴的です。

依存状態に陥ってしまうと、本当は早く精神安定剤の服用をやめたいのに、どんどん処方される薬の数が増えていくといった状況に陥ってしまい、結果的に生命の危機まで追い込まれるリスクもあります。

薬物依存に陥ってからの治療が困難

薬物依存に陥ってしまうと、治療が非常に困難です。

特に、中学生の脳はまだ成長過程にあるため、その頃から精神安定剤を常用するリスクについては国連で指摘されています。

薬物依存になってから薬をやめようとすると、飲み始めた頃よりさらに酷い離脱症状が現れます。

そして、精神安定剤を飲んだ方が安心だと本人が思い込むことで、一層深刻な依存状態へと陥ってしまうのです。

市販で販売されている精神安定剤なら良い?

結論から述べると、市販で販売されている精神安定剤も推奨できません。

確かに市販されているものは、病院で処方されるものと比べても作用が弱いです。しかし、自身に合わない薬である場合、より一層深刻な精神疾患に悩まされるリスクがあります。

そのため、どうしても市販の精神安定剤を頼りたいと感じた場合は、薬剤師に相談の上、慎重に使用するようにしましょう。

中学生が精神安定剤に頼らないために

精神安定剤を服用する前に、まずは他の手段を積極的に試してみましょう。

具体的には、下記のような方法が挙げられます。

  • まず親御様によるお子様のケアを徹底する
  • リラックスできるような訓練を行う
  • なるべく早いタイミングで精神科を受診する

それぞれ順番に解説します。

親御様がお子様のケアをしてあげる

お子様にとっての心の拠り所は、親であることがほとんどです。

中学生になるとお子様と対話する時間も少なくなりがちですが、こまめに気にかけてあげることが大切です。

精神疾患の中でも、不安障害は特に中学生など思春期の子供が発生しやすい疾患です。

不安障害の初期症状が見られたら、寄り添ってすぐにケアしてあげることが重要になります。

なお、中学生に多く見られる不安障害については、下記の記事で解説しています。我が子が何かにビクビクしているような態度が見られる場合は、ぜひご一読ください。

思春期に気をつけたい不安障害とは?代表的な症状や治療法【チェックリスト付き】

リラックスできるような訓練を行う

精神安定剤を服用するのではなく、リラックストレーニングなどを試してみるのも良いでしょう。

たとえば、呼吸法による訓練などは誰にでもでき、その場で簡単に行えます。

しっかりと時間をかけて息を吐いて、腹式呼吸をすることで不安を抑えることができます。

呼吸は人が意識的にコントロールできるものなので、もし不安に襲われた時はまず腹式呼吸を行えるよう覚えておいてください。

またリラクゼーション法の一種として、漸進的筋弛緩法というものもあります。

不安で体がこわばってしまう時、リラックスした方がいいと分かっていても難しいでしょう。しかし、意識的に筋肉を緊張させてから力を抜くことで、脱力状態を作りやすくなります。

落ち着いて一つずつ筋肉を意識しながら、緊張と弛緩を繰り返してみましょう。これを継続することでリラックス状態を作りやすくなり、不安や恐怖に対する意識も薄くなります。

これらの方法は道具も不要で、薬に頼るようなものでもないため大きな副作用もありません。

リラックスする感覚が掴めないという場合は、精神科やメンタルトレーニングを実施している施設などで、より効率的に訓練が行えます。

早いタイミングで精神科を受診する

お子様の様子を見ていておかしいと感じることがあれば、よりこまめに対話を行うことが大切です。

もし気になる場合は、なるべく早い段階で精神科を受診しましょう。早いタイミングで精神科を受診し、治療を開始することで、精神疾患をスムーズに治療することが可能になります。

子供の精神疾患を放置すると、学校への復帰が困難になったり、そのことによって将来に大きな損害を与えてしまったりする危険性があるため、迷ったら精神科を受診することを推奨します。

子供の精神疾患に関する症状については、下記の記事で解説しているため、ぜひ併せてご覧ください。

子供の精神疾患の症状とは?よくある症例や原因も交えて解説

簡単に精神安定剤に頼らないことが大切です

本記事では、中学生が精神安定剤を飲む危険性や、精神安定剤に頼らないための方法について解説しました。

すべての薬がそうであるように、精神安定剤にも副作用というものが存在します。そして精神安定剤は、他の薬以上に重大な副作用を引き起こす可能性が高いのです。

そのため、中学生が精神安定剤を服用することはおすすめできません。

中学生が精神安定剤を飲むことによって、さまざまな悪影響も懸念されます。精神安定剤に頼る前に、まず他の方法を試してみてください。

なお、銀座の心療内科である梅本ホームクリニックでは、できる限り薬に頼らない方法で精神疾患の治療を行います。

薬による治療を無理強いすることもありませんので、精神科の受診を検討している方は、一度お気軽にお電話にてご相談ください。

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