在宅医療とはどんなサービス?費用や条件|選び方を解説

在宅医療とはどんなサービス?費用や条件|選び方を解説

「住み慣れた我が家で治療したい」

「最期は家族と一緒に過ごしたい」

「治療中の家族にいつも寄り添っていたい」

このようなご希望を抱いている患者様や、そのご家族は決して珍しくありません。大切な方の側で安心して治療を進めたいのであれば、在宅医療という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事では、患者様とご家族の負担や不安を大きく軽減できる在宅医療のサービス内容について詳しく解説します。費用や利用の条件、クリニックの選び方まで丁寧に説明しますので、少しでも興味がある方は参考にしてみてください。

梅本ホームクリニックの在宅医療についてはこちら

 

在宅医療とは?どんなサービスか分かりやすく解説

在宅医療とは、その名の通り「自宅などの住み慣れた環境で治療を受けること」を指します。

超高齢化社会を目前に控えた日本では、日々の治療や生活を負担に感じる高齢者が増加傾向にあり、その方のサポートをする方も高齢者であるケースが増えてきました。そのような現状を少しでも改善するために、来院して治療を受ける「外来医療」、入院して治療を受ける「入院医療」に次ぐ、第3の医療として在宅医療が近年注目を浴びています。

なお、厚生労働省では在宅医療の具体的なサービスを以下のように定義しています。

  • 通院が難しい患者様を計画的に診療する「訪問診療」
  • 医師の判断に基づいて予定外に診療する「往診」
  • 看護師が訪問してケアやサポートする「訪問看護」
  • 理学療法士や作業療法士による「リハビリテーション」
  • 歯科医師や歯科衛生士が自宅で歯の治療や入れ歯を調整する「訪問歯科診療」
  • 栄養士が自宅で栄養管理する「訪問栄養食事指導」

厚生労働省の調査によると、平成31年3月末時点では、在宅医療を支援する医療機関や診療所、看護ステーションは全国で約2万7,000か所以上も存在していることがわかっています。

在宅医療を受ける条件

在宅医療はメリットが豊富ですが、利用する際は一定の条件を満たす必要があります。具体的に以下の条件を満たしている場合は、在宅医療の対象となります。

  • 病気や怪我により通院が困難である
  • 患者様本人の同意がある
  • 事前相談で在宅医療が必要だと認められている

この条件には、たとえば以下のようなケースが該当します。

  • 退院後も継続的な治療が必要だが、定期的な外来通院が難しい
  • 病状の悪化により、外来受診の継続が困難になった
  • 未受診であるが、身体的・精神的症状が悪化したため外出ができなくなった

基本的に、本人が同意していて通院が困難だと認められた場合は、在宅医療の対象となります。反対に「問題なく通院できるが、患者様やご家族が在宅医療を希望する」という場合は、対象外となるため注意しましょう。

在宅医療の一般的な種類

一口に在宅医療と言っても、受けられるサポートはさまざまです。ここでは、在宅医療の一般的な種類についてみてみましょう。

退院サポート

退院サポートは、今まで入院中の病院で受けていた医療を在宅でも受けられるようにサポートするサービスです。医師や看護師はもちろん、連携が必要となるスタッフも含め、チームで退院後のサポートを行います。

【退院サポートがおすすめの疾患】

  • ガン
  • 慢性的な循環器疾患
  • 脳梗塞を含む脳血管疾患
  • うつ病や統合失調症を含む精神疾患
  • 認知症 など

とくに、以上のように退院後も引き続き見守りが必要な疾患に関しては、退院サポートをしっかりと受けておくと安心でしょう。

訪問リハビリ

訪問リハビリは、作業療法士や理学療法士が自宅に訪問し、医師の判断に基づいてリハビリをサポートしてくれるサービスです。日常生活における介助方法の指導はもちろん、リハビリに必要な器具の購入、患者様やご家族の不安について相談することもできます。

【訪問リハビリがおすすめの方】

  • 運動器の疾患がある方
  • 脊髄を損傷した方
  • 外傷・切断をした方
  • 内部障害がある方
  • 脳卒中や心疾患後遺症が残ってしまった方
  • 摂食嚥下障害がある方
  • ガン

訪問リハビリは、上記のように長期的なリハビリが必要な患者様にとって非常に有効な在宅医療です。

訪問看護

訪問看護は、看護師が自宅を訪問して日常生活を医療面・介護面でサポートしてくれるサービスです。体調管理に加え、入浴や食事の介助、薬の管理、介護の相談など幅広いサポートに対応しています。希望がある場合は、看取りの際に立ち会ってもらうことも可能です。

訪問看護は、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い方が利用できます。とくに以下のような疾患で生活に支障が出ている場合は、訪問看護の利用がおすすめです。

【訪問看護がおすすめの疾患】

  • 脳血管疾患
  • 心疾患
  • 神経系の疾患
  • 行動に制限がある精神疾患
  • 呼吸器系の疾患
  • 筋骨格系及び結合組織の疾患
  • ガン など

病気の後遺症で寝たきりの方や退院したばかりで日常生活に戻れるか不安な方、終末期の緩和ケアを希望される方など、訪問看護ではさまざまな患者様をサポートしてくれます。

なお、在宅医療の詳細なメリットとデメリットは下記の記事でも解説していますので、本記事と併せてご覧ください。

在宅医療のメリットデメリット|解消方法や費用も解説

在宅医療に必要な費用は?

在宅医療を受ける際は、各種健康保険の適用を受けることが可能です。患者様の病状や年齢に応じて、最大3割負担の費用で治療やサポートを受けられます。

なお、保険適用となる費用とならない費用は以下のとおりです。

【保険適用となる費用】

  • 在宅医療の診療費
  • 薬や検査など医療行為によって発生する費用
  • 看護師が訪問した際の費用(介護保険)
  • 介護サービスを利用した際の費用(介護費用)

【保険適用とならない費用】

  • 医師や看護師の交通費
  • 予防医療にかかる費用
  • 診断書などの書類作成費用

以上を踏まえ、この章では具体的な在宅医療の費用について見てみましょう。

訪問診療代

訪問を受ける場合は、治療費や薬代とは別に訪問診療代がかかります。訪問診療を受ける回数によって異なりますが、1か月あたり5,000~1万2,000円程度の費用になると考えておくといいでしょう。

なお保険適用の場合は、75歳以上は1割、70~74歳は2割、70歳未満は3割負担となります。現役並み所得者の場合は、70歳以上でも3割負担となるため注意が必要です。月の負担額が一定額を超えたときは、払い戻しが受けられる「高額療養費制度」が適用されます。

医療費や薬代

先述した訪問診療代に加え、検査や処置にかかる医療費や薬代が別で必要になります。こちらも治療内容や処方内容によって異なるため一概には言えませんが、在宅医療だからといって特別高額になるわけではありません。現在通院している方は、今の医療費や薬代を参考するか、医師や薬剤師に目安を聞いておくと安心でしょう。

なお、薬をもらいにいくことが難しい場合は、薬剤師に薬を届けてもらったり服用状況を管理してもらったりする「在宅訪問薬剤管理指導」を受けることも可能です。このサービスを利用する場合、薬代とは別に数百円前後の費用が加算されます。

介護サービスの費用

訪問診療に加えて介護サービスを受ける場合は、その費用もかかります。介護サービスは介護保険が適用となり、「合計所得金額」と「世帯における65歳以上の方の人数」に応じて1~3割負担で利用可能です。

なお介護サービス費が自己負担額を超えた場合は、払い戻しが受けられます。一般的な方の自己負担額上限は月額4万4,400円ですが、所得によって上下するため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

詳細な訪問診療の費用は、下記の記事でも解説をしています。費用面での不安を残さないよう、本記事と併せてご覧ください。

訪問診療にかかる費用とは?対応可能な範囲や条件もあわせて解説

在宅医療は「自立支援医療」の理解も深めましょう

在宅医療を受けるときは、通院しながら治療を受ける場合と比べて費用が高額になりやすい傾向にあります。在宅医療にかかる費用を負担に感じる方は、少しでも負担を減らすためにも「自立支援医療制度」の活用を検討しましょう。

自立支援医療制度とは、心身の障害を除去・軽減するために受ける医療費の自己負担額を抑えるための公的制度です。継続的な治療が必要な身体的・精神的な症状を抱える患者様で、条件を満たした場合に適用となります。

所得によって異なりますが、1か月あたりの自己負担額が0~2万円に抑えられるため、医療費負担を大きく軽減可能です。在宅医療の診療費はもちろん、薬やデイケア、訪問看護などの幅広い費用に適用されます。

自立支援医療制度の適用を希望する場合は、以下のような手続きが必要です。

  1. 指定自立支援医療機関を受診し、診断書を書いてもらう
  2. 必要書類を用意し、市町村の窓口で手続きを行う
  3. 郵送で受給者証を受け取る
  4. 受給者証に記載がある医療機関を受診する

当クリニックでは、「疾患のある方」の自立支援医療に対応しています。申請に関する疑問から在宅医療への適用まで、何でもお気軽にご相談ください。

在宅医療を受けるまでの流れ

在宅医療を希望する場合は、事前の手続きが必要となります。ここからは、在宅医療を受けるまでの流れについて紹介します。

在宅医療を受けられるかを確認する

まずは、在宅医療の対象になるかどうかを確認しましょう。在宅医療についての相談は、以下のような機関や担当者が窓口になります。

  • 市区町村役所の介護保険担当窓口や保健所
  • 介護施設のソーシャルワーカー
  • 訪問看護ステーション
  • ケアマネージャー
  • 利用を検討している医療機関

どこに問い合わせたらいいかわからないときは、かかりつけ医に地域の相談窓口を教えてもらいましょう。

必要なものを準備する

次に、必要な書類や器具などを用意します。在宅医療の申込みをするときは、医療機関からの紹介状や医療・介護保険証、各種受給証の写しなどといった書類が必要になります。地域や医療機関によって必要になる書類は異なるため、相談時にしっかりと確認しておくと安心です。

また、在宅で介護や治療を行なうための器具や消耗品なども不可欠です。紙オムツや栄養剤、ベッド、車いす、バリアフリーリフォームなど、必要になる準備は患者様によってさまざま。介護保険や自治体の補助金制度を活用できるケースがほとんどなので、役所や保健所で相談してから準備を進めるとスムーズでしょう。

実際に申し込み〜初診

在宅医療の準備が整ったら、医療機関への申し込みに進みます。申し込みの際は先述した書類のほかに、医療機関から渡される申込用紙への署名・捺印が必要になるケースもあるため、余裕をもって準備しておきましょう。

申し込みの内容や書類に不備がなければ、患者様やご家族のご希望に合わせて初診日を決定し、在宅医療が開始されます。患者様の体調やご家族の都合に応じて、訪問スケジュールや治療内容は柔軟に相談可能です。ご要望や変更希望がある場合は、何でもお気軽にお伝えください。

訪問診療の流れや受けるために必要なものをすべて解説

在宅医療のクリニックの選び方

在宅医療を受ける際は、患者様やご家族の自宅に人を迎え、長い間サポートを受けることになります。そのため、信頼して任せられる在宅医療クリニックを選ぶことが非常に大切です。

人によってご希望は異なるため一概には言えませんが、在宅医療クリニックを選ぶときは以下のようなポイントを重要視すると、安心して治療をお願いできるでしょう。

  1. 医師や病院との相性
  2. 在宅医療の実績と専門性
  3. 自宅からの距離
  4. 対応時間

とくに重要なのは、医師や病院との相性です。治療方針や人間性が合わないスタッフが担当することになれば、逆に患者様やご家族の負担が増えてしまうことになるため注意しましょう。在宅医療の実績と専門性も確認のうえ、なんでも相談できる相性のいいクリニックを選んでくださいね。

また、在宅医療は原則半径16km以内の医療機関に限られています。万が一のときにスピーディーな対応をしてもらうためにも、自宅から近くて深夜や週末でも対応してもらえるクリニックを選んでおくと安心です。

梅本ホームクリニックでは、患者様がもっとも相性のいい医師に巡り会えるよう、実際にお家に伺ってお悩みをお聞きします。また、緊急時でもすぐに対処できるように、24時間365日いつでも治療に駆けつけます。不安なことや分からないことがある方は、下記からお気軽にご連絡ください。

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まとめ

在宅医療とは、病気や怪我の影響で通院が難しい患者様に向けた、自宅で治療やサポートが受けられる医療サービスです。利用するためには、一定の条件を満たして書類や治療環境を準備する必要がありますが、患者様本人やご家族の負担を大きく軽減できるため、通院に課題を感じている方はぜひ一度ご検討ください。

在宅医療は医療保険や介護保険、高額療養費制度、自立支援医療制度の対象となります。費用負担を軽減しながら在宅で治療を受けたい方は、ぜひ梅本ホームクリニックにご相談ください。