うつ病とうつ状態の違いとは|現れる症状に関して
うつ病に関連する言葉には、「うつ病」や「抑うつ状態」、「うつ状態」などさまざまなものがあります。病院を受診して診断書に「抑うつ状態」と書かれたとき、うつ病との違いや正確な状態を判断することが難しいと感じている人は決して少なくありません。
この記事では、わかりにくいうつ病とうつ状態の違いについて解説します。うつ病が疑われるときの対処法についても紹介するので、ご家族やご自分の心の状態を判断するときに参考にしてみてください。
うつ病とうつ状態の違いとは
うつ病、抑うつ状態、うつ状態、うつ、抑うつなど、うつ病に関する言葉はたくさん存在しています。こういった言葉に明確な基準はありませんが、ある程度気分の落ち込みや憂鬱な気分が続いた状態を「抑うつ状態」と表現します。つまり、抑うつ状態やうつ状態は、一時的な気分の落ち込みを指す言葉なのです。
一方でうつ病は、抑うつ状態よりも症状が重い場合や期間が長い場合に使われる言葉です。抑うつ状態が長く続き、生活に支障が出て苦痛が強い場合は、うつ病と診断が下ります。 ただし、先述したようにうつ病とうつ状態の言葉に明確な基準はありません。自己判断することは危険なので、異変を感じたら早めに病院を受診することをおすすめします。
参考:日本医師会|うつ病・抑うつ状態と、うつの違いってなぁに?
https://www.med.or.jp/dl-med/people/plaza/454.pdf
うつ病の基本症状
うつ病というと、なんとなく「気分が塞いでしまう病気」だとイメージする人は多いかもしれません。気分の落ち込みなどの神経症はうつ病の基本症状ですが、ほかにも症状はあらわれます。 ここでは、うつ病の基本症状について見ていきましょう。
気分が落ち込みやすい
うつ病になると、非常に気分が落ち込みやすくなります。一日を通して悲しい気持ちになったり不安や焦り、イライラ感に襲われたりします。症状が悪化すると繰り替えし死について考えたり(希死念慮)、実際に死のうとしたりする(自殺企画)こともあるため注意が必要です。
うつ病による気分の落ち込みは体や自律神経のバランスを崩し、身体症状を引き起こすこともあります。睡眠障害や食欲の低下、全身の倦怠感や頭痛などに悩まされますが、検査をしても何の異常も出てこないことがほとんどです。 とくに朝の抑うつ気分が強く夕方には楽になることが一般的ですが、個人差があり夜間に落ち込みやすいという人もいます。
物事に関心が湧かない・興味もない
- うつ病になると、物事への関心や興味が薄れます。
- 今まで好きだった趣味を楽しめなくなる
- 家族や友達との会話が億劫でつまらない
- テレビや新聞がおもしろくない
- 身だしなみやおしゃれがどうでもよくなる
このように、生活を送るうえであらゆることに関心や興味が湧かなくなり、意欲が低下するのがうつ病の代表的な症状です。 意欲の低下は思考力の低下を引き起こし、日常生活や仕事に影響を出すこともあります。集中力が低下してミスが増える、なんてことない決断ができない、集中力がなくなるといった症状に悩まされる人も少なくはありません。
悲しいことが起きたときは誰もが抑うつ状態になる
うつ病の代表的な症状は神経症や意欲低下ですが、こういった症状が出たからといって必ずしもうつ病であるとはいえません。なぜなら、悲しいことが起きたときや辛いことがあったときは、誰でも一時的に抑うつ状態になるためです。 それでは、「一時的な抑うつ状態」と「うつ病」の区別はどこでつけるのでしょうか。 その判断基準は、症状の数と持続時間症状を含む「症状の重さ」と、「その症状が日常生活を阻害しているかどうか」という2つです。詳しくは後述しますが、うつ病の診断基準に当てはまる症状が多く、それが2週間異常持続しており、日常生活に支障をきたしている場合に「うつ病」と診断されることが多い傾向にあります。
ただし、症状の有無や生活に支障があるかどうかは主観的に判断することが難しいです。そのため、医師が慎重に診断する必要があります。
うつ病だと診断される可能性のある症状
うつ病は、「DSM-5」と呼ばれる以下のチェック項目が診断基準となります。
【基本となるうつ病の症状】
- 気分が落ち込む
- 物事に興味がない、あるいは楽しめない
【チェック項目】
- 集中力や注意力などが衰えている
- 人生の敗北者だと悩む、
- 家族に申し訳ないと感じる
- 自分を責めたくなったり、
- 自分には価値がないと思ってしまう
- 将来に対して悲観的な見方をしてしまう
- 自分の体を傷つけたり、 死んだほうがいいと思ってしまう
- 寝られない、睡眠中に目が覚める
- 食欲がない
引用:日本医師会|うつ病・抑うつ状態と、うつの違いってなぁに?
https://www.med.or.jp/dl-med/people/plaza/454.pdf
上記の基本となるうつ病の症状にプラスして、チェック項目が4つ以下の場合はうつ状態であると診断されます。チェック項目が5つ以上あり、それらがほとんど1日中続き、毎日かつ通常2週間以上続いているときは「うつ病」だと診断されます。
ただし、上記の診断基準はあくまでうつ病の可能性を判断するもので、確実な診断ではありません。
うつ病かもしれないと感じたときに取るべき行動
もしもご自分や家族にうつ病の徴候がみられたときは、どのような行動を取るべきなのでしょうか。 うつ病は、早期に治療を始めれば症状が早く改善しやすくなります。反対に、治療が遅れると本人の苦痛が強くなり治療に長い時間がかかってしまう可能性があるため、異変を感じたらすぐに行動に移すことが大切です。 最後に、うつ病が疑われるときに取るべき行動について紹介します。
診断の参考となる資料を準備する
まずは、うつ病の可能性をセルフチェックで確認してみましょう。 塩野義製薬と日本イーライリリーが運営するWebサイト「うつ病 こころとからだ」では、無料で利用できるうつ病の症状チェックシートが提供されています。18問の簡単な質問に答えるだけで、うつ病の可能性を診断してくれます。 このチェックシートのいいところは、うつ病の可能性を知れるだけではなく、医師の診断を受けるときの参考資料になるところです。チェックシートの結果を医師に渡すことで、スムーズな診断が可能となります。
身近な人に現状を伝えて相談する
「病院に行くことに抵抗がある」「あまり大げさにしたくない」というときは、まず身近な人に相談することからはじめましょう。軽度の抑うつ状態であれば、相談することで心が晴れたり対策法が見えてきたりして問題が解決する可能性があります。 とくに、真面目で頑張りすぎる性格の人はうつ病になりやすいと言われています。「これくらいでうつ病なわけがない」と思いこんでしまう傾向にあるので、周囲に相談して客観的な判断をしてもらうことが大切です。
医師に相談をして的確に判断してもらう
記事内でうつ病の診断基準やセルフチェックの方法を掲載しましたが、紹介した方法だけで自己判断せず、必ず医師に相談して的確な判断を下してもらいましょう。うつ病の正確な診断をするためには、一人ひとりの様子やほかに悩んでいる症状などを複合的に見て判断する必要があるためです。
自己判断で「これくらいの抑うつ状態は病気じゃない」と思ってしまったり、「うつ病だから会社を辞めよう」と行動したりしてしまえば、症状の悪化や大きな後悔につながってしまう恐れがあります。医師に相談することで客観的な判断が可能となり、薬物療法や休職、これからの過ごし方など適切な治療の方向性が見えてきます。
精神科や心療内科に通院することに抵抗がある場合は、かかりつけの内科などで相談しても構いません。症状の早期改善には医師の診断が欠かせないので、できるだけ早めに診察を受けるようにしましょう。
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