ベンゾジアゼピン系の薬は認知症リスクを高める?副作用や対策も解説
ベンゾジアゼピン系の薬は非常に強力であるものの、様々な副作用が見られる可能性があるため、慎重に服用しなければなりません。
その上、認知症リスクを高めるということをメディア等で聞いてしまい、服用をためらっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ベンゾジアゼピン系の薬の副作用や、認知症リスクについて解説します。ベンゾジアゼピン系の薬は十分な注意を払って服用することで、副作用や認知症のリスクを大きく低減できます。
ベンゾジアゼピン系の薬が処方された方や、服用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
お問い合わせやご相談は無料で承っております。下記からお気軽にお電話ください。
ベンゾジアゼピン系の薬の特徴
ベンゾジアゼピン系の薬とは、脳内のBZD受容体に作用し、刺激することでGABAと呼ばれる沈静作用のある神経伝達物質の作用を強める薬のことです。
ベンゾジゼピン系の薬は、睡眠薬に多く使用されている薬であり、即効性が高く、効果が強いことが特徴です。
代表的なベンゾジアゼピン系の薬として、即効性の高い睡眠薬のハルシオンや、レンドルミンが挙げられます。睡眠薬のほかにも、抗不安薬として利用されることもあり、精神疾患を患っている患者様に使用されています。
即効性が高い上に、効果も強いことから人気の高い薬であるものの、副作用のリスクも大きく、慎重な処方と使用が求められる薬の1種です。
なお、ベンゾジアゼピン系の薬については、下記の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは?効果や副作用・具体的な薬名も解説
ベンゾジアゼピン系の薬の副作用
ベンゾジアゼピン系の薬は、様々な副作用のリスクがあります。
特に注意すべき副作用は、下記の通りです。
- せん妄
- 混乱状態や錯乱状態
- 認知機能の低下
それぞれ順番に解説します。
せん妄
せん妄とは、一時的に見当識障害や、辻褄の合わない発言をしてしまうなどといった、認知機能障害が起きる症状のことです。
認知症と混同されがちですが、認知症では上記のような症状が継続的に発症する一方で、せん妄では一時的に発症します。
せん妄が起こる原因の1つに、睡眠覚醒リズムの乱れが挙げられます。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を服用することで、深い睡眠の時間が短縮されるとともに、途中覚醒が増えてしまうため、睡眠覚醒リズムが乱れ、せん妄を引き起こす可能性が生まれてしまうのです。
混乱状態や錯乱状態
ベンゾジアゼピン系の薬は、強い鎮静作用を発揮する薬であるものの、鎮静作用が不十分の場合は帰って混乱状態や錯乱状態を招く恐れもあります。
なぜなら、ベンゾジアゼピン系の薬によって、思考力や行動力を司る前頭葉の機能のみが低下してしまい、かえって原始的・短絡的な行動を取ってしまうからです。
これは、お酒に酔っている方が、短絡的な行動を取ってしまうことと似ています。ベンゾジアゼピン系の薬を継続的に服用した場合、薬が効きにくくなることによってこのような症状が起きやすくなります。
ベンゾジアゼピン系の薬は、継続的な服用を行うべきではないため、このような症状が起こらないためにも、早期での服用の減薬・中断が大切です。
認知機能の低下
ベンゾジアゼピン系の薬を服用することで、先述したせん妄のほかにも、集中力の低下などの認知機能の低下が見られる可能性があります。
空間視力障害やIQの低下、言語性記憶への障害など、様々な副作用が発症するリスクがあるため、ベンゾジアゼピン系の薬を処方してもらう場合は、家族などの周りの方の見守りが必要不可欠となるでしょう。
ベンゾジアゼピン系の薬の副作用として認知症リスクが高まる?
結論から申し上げると、ベンゾジアゼピン系の薬の副作用として、認知症リスクが高まることが、研究によって明らかになっています。
2014年に行われた研究によると、ベンゾジアゼピン系の薬を服用している患者は、服用していない患者に比べて、アルツハイマー方認知症の発症者が1.5倍多かったと報告されています。
さらに服用期間や、服用している薬の作用時間が長いほど、アルツハイマー型認知症と強い関連が見られたのです。
「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015」では、認知機能の低下の副作用リスクから、75歳以上の方に対して、「特に慎重な投与を要する」薬剤として指定されています。
ベンゾジアゼピン系の薬による認知症リスクの増加を防ぐために、非ベンゾジアゼピン系の薬を代用したり、できるだけ少量の服用を心がけたりすることが大切です。
ベンゾジアゼピン系の薬の副作用で認知症を発症しないために
ベンゾジアゼピン系の薬の副作用で、認知症を発症しないために下記のことに注意しましょう。
- 認知症リスクを恐れて服用しないことも危険
- 必要最低限の服用を心がける
- 同時並行で不眠症を改善する生活習慣を身につける
それぞれ順番に解説します。
認知症リスクを恐れて服用しないことも危険
ベンゾジアゼピン系の薬による認知症リスクを恐れて、不眠症などを放置することもかえって危険です。
不眠症などの睡眠障害を放置しておくと、睡眠の質の低下や睡眠不足による認知機能の低下や、認知症を発症する可能性を高めてしまいます。
作用が若干弱い、非ベンゾジアゼピン系の薬でも睡眠障害が改善されない場合は、一時的に十分な睡眠を取るために、ベンゾジアゼピン系の薬の服用を検討しましょう。
必要最低限の服用を心がける
先述した通り、ベンゾジアゼピン系の薬の服用回数が増えるほど、認知症リスクが高まるとされています。
そのため、ベンゾジアゼピン系の薬を服用する場合は、必要最低限の量を守って服用しましょう。
注意点として、ベンゾジアゼピン系の薬には依存性があるため、効果が効きにくくなったからという理由で、自己決定で服用量を増やしてしまう可能性もあります。
医師や看護師、ご家族と連携を取った上で、できるだけ少量の服用に抑えられるように心がけましょう。
同時並行で睡眠障害を改善する生活習慣を身につける
ベンゾジアゼピン系の薬を服用すると、高い確率で素早く入眠することが可能です。
しかし、薬に頼ることなく、同時並行で睡眠障害を改善するための生活習慣を身につけることが大切です。
生活習慣から睡眠障害を改善することによって、薬に頼らずに入眠することが可能になり、結果としてベンゾジアゼピン系の薬の服用量を減らせます。
睡眠障害を改善しつつ、ベンゾジアゼピン系の薬の服用量を減らせられれば、認知症の発症リスクを大きく低減させられるでしょう。
ベンゾジアゼピン系の薬は副作用や認知症リスクを踏まえて服用しましょう
本記事では、ベンゾジアゼピン系の薬の副作用や認知症リスクについて解説しました。
ベンゾジアゼピン系の薬は、非常に即効性と作用の強さに優れている分、認知症リスクの増加をはじめとする、様々な副作用があります。
そのため、これらのデメリットを十分に理解した上で、上手に薬と付き合う必要があるのです。
銀座の心療内科梅本ホームクリニックでは、睡眠障害や認知症の診察を行っております。
自宅で診察や治療を受けられる在宅医療にも対応しており、できる限り認知機能の低下や認知症のリスクを抑えた治療を行うことが可能です。
お体の不調などで、通院が難しいと思われる場合も、お気軽にご相談ください。
お問い合わせやご相談は無料で承っております。下記からお気軽にお電話ください。