ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは?効果や副作用・具体的な薬名も解説
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、睡眠障害の改善のために用いられる、代表的な睡眠薬の一種です。
不眠障害や中途覚醒などによって、満足な睡眠を取れず、睡眠薬の使用を検討している方は多いのではないでしょうか。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬を始めとする睡眠薬を利用することで、睡眠障害の改善が期待できる一方で、誤った服用をしてしまうと強い副作用が起こるなどの危険性もあります。
本記事では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の概要や副作用、主な薬名と特徴について解説します。
睡眠障害で悩んでおり、医師に睡眠薬の処方をお願いしようと思っている方や、実際にベンゾジアゼピン系睡眠薬を処方された方はぜひ参考にしてください。
なお、認知症の周辺症状で服用すべき睡眠薬は下記の記事で解説しています。
睡眠薬を服用すべき認知症の周辺症状とは?発症リスクも併せて解説
ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは?
ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは、「ベンゾジアゼピン受容体」の働きを活性化することで、GABAと呼ばれるリラックスを促す神経伝達物質の作用を強めて、入眠を促す睡眠薬のことです。
即効性が高い上に、ベンゾジアゼピン睡眠薬には、睡眠を促す作用のほかにも不安感の軽減などの効果があります。
薬の種類も多く、幅広い睡眠障害に利用されている睡眠薬の1つです。
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ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果と持続時間
先述したように、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、「ベンゾジアゼピン受容体」を刺激し、リラックス効果のあるGABAの神経伝達を活発にすることで、催眠・鎮静効果を与える薬です。
薬の種類によって異なるものの、いずれも即効性が非常に高いことが特徴であり、服用すると短時間で入眠できます。
また、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、作用時間の短さによって4つに大別されます。
それぞれの種類と、薬の効果が半減するまでの時間は下記の通りです。
- 超短時間作用型(超短時間型):2~4時間
- 短時間作用型(短時間型):6~10時間
- 中間作用型(中間型):12~24時間
- 長時間作用型(長時間型):24時間以上
主に寝つきが悪い場合は、超短時間作用型や、短時間作用型が利用されます。
一方で、睡眠途中の目覚めや、早朝覚醒を防ぐ用途の場合は、中間作用型や長時間作用型が利用されます。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には、下記のような副作用が引き起こされるリスクがあり、そのことを留意して服用することが大切です。
- 精神神経系症状
- 一過性前向性健忘
- 依存性
それぞれ順番に解説します。
精神神経系症状
精神神経系症状とは、ふらつきや頭痛、めまいなどの症状のことです。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬には、筋肉を弛緩させる作用があるため、ふらつきを起こす可能性があります。そのため、服用後は速やかに就寝の準備を行うとともに、翌朝の起床直後も注意しなければなりません。
ほかにも、ふらつきやめまいといった不快に感じる副作用が見られることがあります。
このような副作用が見られた場合は、担当医に相談した上で、適切な処置を行ってもらうことが大切です。
一過性前向性健忘
一過性前向性健忘とは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用した後の記憶を失うことです。
服用した本人は寝たつもりだったとしても、実際には起床したまま行動しており、その上記憶を失っているため自覚の無い行動の跡が翌朝に見られます。
服用した本人は、行動のコントロールをすることができないため、介護者や家族が様子を見る必要があります。
特に、超短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用した際に起こりやすいため、超短時間作用型の睡眠薬を服用する際は、患者様が危険な行動を取らないように、介護者が注意を払うことが大切です。
依存性
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、即効性が高いため、依存に陥ってしまう可能性があります。
睡眠薬依存には大きく分けて、精神的依存と身体的依存の2種類に分けられます。
精神的依存とは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用しないことによって、睡眠障害が起こる生活に対する不安感から、睡眠薬の服用を停止できなくなる依存のことです。
一方で、身体的依存とは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の服用を停止することによって、身体に不調をきたしてしまう状態のことです。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、GABA受容体に作用することで、睡眠作用や鎮静作用を与えます。
その刺激があることに身体が慣れてしまうことで、服用を停止することによって、身体に不調が生じてしまうのです。
不調には、頭痛やふらつきなどの身体的不調だけではなく、強い不安感や興奮状態といった精神的な不調も含まれます。
できる限り依存を防ぐためにも、必ず担当医や薬剤師の指導のもと、慎重に服用することが大切です。
主なベンゾジアゼピン系睡眠薬
ベンゾジアゼピン睡眠薬の中でも、代表的な薬剤は下記の通りです。
- ハルシオン
- レンドルミン
- サイレース
- ドラール
それぞれ順番に解説します。
ハルシオン
ハルシオンは、超短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、非常に即効性に優れている睡眠薬です。
個人差はあるものの、服用後10~30分後には眠気を感じられ、1~2時間で血中濃度が最大値になることから、主に入眠障害に用いられます。
非常に効果が高い睡眠薬である一方で、強力が故に睡眠薬への耐性がつきやすく、依存のリスクも高いことが知られています。
また、超短時間作用型であり、薬の効果が切れるのが早いことから、患者様の状態によってはレム睡眠行動障害などを引き起こす可能性もあるため、介護者の十分な見守りのもと使用しなければなりません。
依存を加速させないためにも、少量での服用開始や、早期での服用停止が重要です。
レンドルミン
レンドルミンは、短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、脳をリラックスさせる作用が強い睡眠薬です。
ハルシオンに比べて、作用時間が長いため、入眠後も睡眠薬の効果が続き、中途覚醒や早朝覚醒の改善も期待できます。
また、筋弛緩作用や抗不安作用が認められており、興奮状態や不安状態が原因で入眠できない患者様に非常に有効です。
薬の強さは他の睡眠薬と比べて標準的ではあるものの、一定の依存の可能性があるため、利用する際と利用を停止する際は注意が必要です。
サイレース
サイレースは、中間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、催眠作用に非常に優れています。
中間作用型であるため、睡眠時間全体に効果が認められ、入眠障害だけではなく、中途覚醒や早朝覚醒の改善も期待できます。
他の睡眠薬と比べて、強力な睡眠薬であるため、他の睡眠薬が効かなかった場合の対処策として利用されることが多いです。
非常に強力であるため、処方されることは滅多にありません。しかし、処方された場合には医師の指示に従うことはもちろんのこと、こまめに医師と状況の共有を行いながら慎重に利用しましょう。
ドラール
ドラールは、長時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬であり、催眠作用に特化した薬です。
作用時間が非常に長いので、中途覚醒や早朝覚醒にも高い効果を示す上に、体内で成分が分解されるとともに、抗不安薬としての効果も発揮します。
そのため、強い不安感やストレスなどによって引き起こされる睡眠障害の改善が期待できます。
ドラールは上述した3種類の睡眠薬と比べても、比較的作用が弱く、依存性も低いため、高齢者の方などにも多く処方される睡眠薬です。
ただし、作用時間が長い分、翌朝のふらつきやめまいなどの症状が引き起こされる可能性も高いため、起床時には十分注意をする必要があります。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は市販されている?
結論から申し上げると、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は市販されていません。
なぜなら、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は先述した4種類の薬のように、非常に高い効果を持つとともに、副作用のリスクも高いからです。
また、アルコールの摂取や、薬の飲み合わせなどによって、重大な副作用が引き起こされる恐れもあるため、必ず医師の指導のもと服用する必要があります。
市販されている睡眠導入剤は、主に「抗ヒスタミン薬」と呼ばれているものです。
抗ヒスタミン薬は、主にアレルギーの抑制に有効であり、その副作用として眠気を引き起こします。この副作用を利用して、睡眠導入剤として活用しているものが、市販されているのです。
市販の睡眠導入剤は、医師から処方されるものよりも弱いものの、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と同様に依存の危険性があります。
使用する際は、必ず薬局の薬剤師に生活リズムや症状などを共有し、安全性を確保した状態で利用しましょう。
また、市販の睡眠導入剤でも睡眠障害が改善されない場合は、市販の睡眠導入剤が効かなくなった場合は、自己判断で薬の量を増やすのではなく、医師に相談することが大切です。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は医師の指示に従って服用しましょう
本記事では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の概要や主な副作用、薬の種類について解説しました。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は効果が強力なものが多い分、副作用のリスクも大きいです。そのため、必ず医師に病状を適切に共有し、医師や薬剤師の指示のもとで服用しましょう。
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