医療現場でAIができることとは?活用例や将来性について解説

医療現場でAIができることとは?活用例や将来性について解説

ここ数年で、医療の現場は大きく変わりました。今までは紙ベースだったカルテが電子化されたり、一部の医療機関ではロボット手術なども導入されるようになりました。こういった「医療の電子化」は従来の医療現場をどんどん変えていき、そして、今もなお進化し続けています。

本記事では、特に「医療AI」に着目して、医療現場でAIができることを、活用例や将来性も踏まえて解説していきます。

 

医療AIとは

AIは「Artificial Intelligence」の略称で、人工知能のことです。名前はよく聞くけれど、実際どんなことに使われているのかはいまいちよくわからないという方もいるでしょう。​​

AIというと、IT分野というイメージが強いかもしれませんが、医療分野への導入も進められています。

医療AIとは、病気の確定診断や、医療機関での事務作業、オンライン診療などを担う人工知能の総称です。速く正確に作業ができるこれらの医療AIは、医療現場での人手不足の解消や感染拡大予防などの観点から、最近特に注目されています。

病気の早期発見や診断名の確定に不可欠である「データの収集・活用」やカルテの解析、画像診断など、AIが得意とする作業や実際の活用例などを、本記事では述べていきます。

 

医療AIができること

医療現場には、診察・検査・治療・記録など様々な業務があります。そして、その多くに、AIの導入が可能と言われています。

ここでは、医療現場でAIができることを具体的に紹介します。

 

医療におけるデータの収集と活用の簡易化

医師は多くの症例のデータを収集し、特定の疾患の共通点を見つけたり、症例から規則性を見出したりした上で診察を行います。このようなデータの収集と分析は、医師それぞれの経験に頼る部分が多く、時間と労力がかかるものでした。しかし、診察の際に医師が行っている「データの収集・活用」は、AIが非常に得意とするところです。

実際に、患者様のカルテ解析によるデータの収集や、検査データから異常所見を見つけ出したりして病気の早期発見につなげるなどの実証実験も進められています。2016年には日本国内で白血病患者の特定がわずか10分で達成されるという実績を挙げています。

 

業務の効率化

医師をはじめとする医療従事者は、診察や検査などの臨床業務だけをしているわけではありません。診察内容や診断・薬剤処方の記録や、行った診療内容をもとに診療報酬明細書を作成し、審査支払機関へ提出するといった業務なども日々行なっています。

こういった業務をAIが担う試みも始められており、作成そのものの自動化の他にも、医療従事者が作成したレセプトをチェックするAIチェッカー​​なども導入されてきています。

こういったデスクワークをAIが対応することで、医療機関全体の業務効率化が期待できるのです。

 

患者様の負担の軽減

診療や診断、薬剤処方や明細書の作成がAIで早く正確にできると、患者様の待ち時間を大幅に減らせます。余計な待ち時間を減らすことによって、通院・入院にかかわらず、患者様の時間的・体力的負担を軽減できます。

 

医療AIの活用例

このように、医療AIができることはとてもたくさんあります。

では、実際の医療現場では、どんなAIがどのように使われているのでしょうか。

 

カルテ解析

カルテから疾病を診断するAIが医療現場で活用されています。

カルテには患者様の病歴やこれまでの検査結果、診察を通して得られた医師のアセスメントなど、多くの患者情報があります。通院期間が長い患者様ほど内容が膨大で、それらすべてを踏まえて疾病を診断するのは簡単なことではありません。AIを用いて、カルテから疾病を特定したり、いくつかの可能性を提案することで医師の診断をサポートし、診断に必要な時間も短縮化するといったことが目指されています。

 

画像診断

医療機関に行くと、レントゲンやCT・MRI検査など様々な検査を行いますが、画像を撮れば診断が確定するというわけではなく、そこで出てきた結果から、どういった病態が考えられるのかを読み取らなくてはなりません。

そこで活用されているのが、画像から疾病診断を行うAIです。レントゲン写真や心電図などに現れる、疾病ごとの特徴を学習させることで、画像に写された異常所見を瞬時にキャッチします。ケースによっては医師よりも正確に、かつ素早く疾病診断ができるといった例も報告されています。

 

オンライン診断システム

昨今の社会情勢から、医療機関を訪れることなく診察・診断することのニーズが高まっています。そんな中、すでに一部の地域で導入されているサービスが、AIを導入したオンライン診断システムです。オンラインで医師と患者様が通話して診察することで、患者の状態を把握し、AI機能による病名予測や、病状に応じた近隣の病院情報の紹介、診断後の処方箋の配送などが可能です。これらは感染症の蔓延にともなう自宅療養や自粛生活の方には非常に有用と言えるでしょう。

なかにはオンライン診療の結果をデータ化し、患者様側で所有できるサービスもあり、医療と密接につながりながら正確な健康情報を閲覧できる利便性の高さがうかがえます。​​

 

医療AIができることの将来性

こういった技術をさらに発展・簡便化させると、医療AIができることの将来性が飛躍的に広がります。

ここからは、医療AIによって期待されることについて解説します。

 

遠隔治療への応用

オンライン診療は、感染症の拡大防止という観点だけでなく、離島や遠隔地などの「医療過疎地」への医療提供にも大きな期待が寄せられています。自宅に居ながらにしてスマートフォンやタブレット端末などを使って医師の診察を受けることが可能です。さらには診察だけでなく治療も遠隔技術で行うことが期待されています。遠隔治療ができるようになると、通院にかかる身体的負担や経済的負担、時間的負担を減らせるでしょう。

介護

医療のみならず介護の分野でも、AI導入が進められつつあります。介護施設では、入所者様に対する見守りや、モニタリングをAIが行うことで、入所者様の徘徊や転倒を未然に防ぐことができます。

また、立ち上がりやトイレ動作に介助が必要な方には、AIを搭載したロボットが介助を行なったり、それぞれのデータに基づいたケアプランの作成などにもAIの導入が可能です。

 

製薬

製薬業界でも、AIのテクノロジーが導入されてきています。ワクチンや新薬の開発など、従来であれば多くの時間とコストをかけて行われてきたことが、AIを用いることで、目的に応じた医薬品を迅速に設計・開発することが期待されています。

 

医師にしかできないこと

以上のように、人間よりも早く、正確に業務を進めると言われているAIですが、現在の技術ではまだ不十分なところももちろんあります。

ここで解説することは、生身の人間である「医師」にしかできません。医師にしかできないものが何なのかを見ていきましょう。

 

患者様との適切なコミュニケーション

「患者様」と一言で言っても、たくさんの方がいます。医師に求めることも様々です。

できるだけ丁寧に、わかりやすく説明して欲しい方もいれば、仕事の空き時間に大急ぎで検査結果を聞きに受診された方もいるでしょう。そういった細かなニーズを読み取りながら、それぞれに合った適切なコミュニケーションをとっていくのは、現在のAIにはまだまだ難しいと言えます。

 

前例の少ない病気への対応

AIは、データを元に判断します。あまり前例のない珍しい病気などの場合、データが少ないために診断ができないことがあります。こういったケースでは、医師がひとつひとつ丁寧にデータを検証し、対応していく必要があるのです。

 

まとめ

本記事では、医療現場でAIができることを解説しました。

多くのデータを正確に蓄積し、必要に応じてそれを素早く活用できるAIは、カルテなどの患者様情報の収集や利用に非常に役立ちます。それによって医療機関全体の業務の効率化に繋がると、患者様の時間的・体力的負担も軽減することができるのです。

将来的には遠隔治療や介護、製薬業界にも応用が期待されている医療AIですが、一方で、患者様との適切なコミュニケーションや前例の少ない病気への対応などについては、実際の医師にしかできない部分だと言えます。医師がAIを上手に活用することで、AIによる医療は大きく進歩するでしょう。

また、梅本ホームクリニックでは、患者様それぞれの状況に合わせた柔軟な在宅医療を提供しております。無料の電話相談を受け付けておりますので「心のケアまで行ってほしい」、「最先端の医療を受けたい」と思った方は、お気軽にご相談ください。

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